第175話 魔性の愛花ちゃん

 今日はお家でのんびり。

 彩香ちゃんと愛花ちゃんが遊びに来ているので一緒にゲームをしている。

 今はレースゲームで盛り上がっていた。


 このメンバーだとやはり愛花ちゃんが一番うまい。

 彩香ちゃんも一緒に遊んでいることがあるのか意外と上手だ。


 私に関してはゲーム自体はするけど、PCゲームで言うとマウスクリックしかしないようなゲームがほとんど。

 愛花ちゃんほどの実力はないのである。


 そんなわけでほとんど先頭を走る愛花ちゃん。

 ……だったのだが、突然愛花ちゃんの操作するカートがコースを外れて壁に体当たりを繰り返している。


 なにかそこに裏ワザショートカットでもあるのだろうか。

 そう思ったが、そういうわけではなく。


 となりに座っていた愛花ちゃんがこちらにもたれかかってきた。

 寝っちゃったわけである。

 レースゲーム中に寝るとはなかなかだね。


「寝ちゃったね」

「昨日遅くまでゲームしてたから」

「そうなんだ」


 私が思っている以上にゲーム好きなんだなぁ。

 とりあえず愛花ちゃんを私のお布団へ移動し寝かせておく。


「かわいいなぁ」


 愛花ちゃんの寝顔はまさに天使。

 さすがマイスイートエンジェルだ。


「ふあああ……」

「あれ、彩香ちゃんもお眠?」


「私も一緒にゲームしてたのよ」

「あらあら、だったら彩香ちゃんも寝ていいんだよ?」


 私は手をわしわししながらそう言った。


「……その手は何?」

「安心して。起きたらすっぽんぽんだからね?」

「何を安心するの!?」


 自分の体を抱く彩香ちゃん。

 そういうの見ると燃え上がっちゃう~。


「ふっふっふ。彩香ちゃん、今度温水プールにでも行こっか」

「この話の流れでそれは……。危険だわ」


「何もしないよ~」

「信用できない! ……私のが見たかったりするの?」


 あれ、なにこの反応……。


「見たいよ?」

「そ、そう。見せられないけど、求められるのは悪くないわね」

「……」


 彩香ちゃん、それはけっこう危険な思想だと思うよ。

 ちょっと押してみようか。


「彩香ちゃん、どうしても今見せてって言ったら見せてくれない?」

「え、いや、その……」


 私は彩香ちゃんをじりじりと追い詰めていく。

 そして私のお布団へ誘導。


 隣には愛花ちゃんがいる。

 そこで私は彩香ちゃんの頬に手を添える。


「ふふふ、彩香ちゃん、真っ赤だよ?」

「ひゃっ」


「いいでしょ~、彩香ちゃん」

「はわわわわわ……」


 これはいける!

 と思ったその時、急に愛花ちゃんが上半身を起こした。


 びっくりして固まる私たち。

 そしてこちらをむく愛花ちゃん。


「……」

「お姉ちゃん、ハレンチ」

「ち、違うのよこれは……」


 若干引いた感じの愛花ちゃんと、焦る彩香ちゃん。

 起きたら真横で妙なことをしているお姉ちゃんがいるんだし、それはびっくりだよね。


 まあ、私が襲ってるんだけどね。


「委員長ハレンチ~」

「だから違うってば~」


 ふふふ、彩香ちゃんで遊ぶのは楽しいなぁ。

 ……ところでなんでここにいる、茜ちゃんよ。


 いつ入ってきたんだろう。

 最初から部屋にいたとか言わないでよ?


「あはは、委員長はやっぱり面白いなぁ」

「高城さ~ん?」

「きゃ~」


 彩香ちゃんは茜ちゃんに飛びかかり、押し倒す。

 そして胸をもみくちゃにしていた。

 完全に襲っていらっしゃる……。


 とりあえずいちゃついているふたりはおいておくとしよう。

 今のうちに愛花ちゃんと遊ぼ~っと。


 と思ったら、愛花ちゃんの手が私の方へ伸びてくる。

 そしてそっと私の頬に触れた。

 え、なにこれ?


「いいでしょ? なずなさん……」

「はうわっ!?」


 不意打ちをくらう私。

 心臓が飛び出るかと思った。


 これが女子小学生に誘惑されるってことなのか。

 というか、今のは私が彩香ちゃんにやったやつ。

 起きてたのか愛花ちゃん。


 だからあんないいタイミングで起き上がったんだね。

 それより襲われてるんですけど私~!!


 床で仰向けになっている私と、上に乗ってくる愛花ちゃん。

 これはダメじゃないのか~?


 いや、私は襲われただけです。

 私は悪くありません。


 愛花ちゃんの顔がせまってくる。

 すまないみんな。

 私、先に大人になっちゃいます♪


 とその時、胸のところにドスンと何かが落ちてきた。


「……」


 そこには私の胸に顔をうずめる愛花ちゃんがいた。

 どうやら再び眠ってしまったようだ。


 さっきのは寝ぼけてやったこと?

 だとしたら……。

 魔性だよ魔性。


 愛花ちゃん、恐ろしい子。

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