第174話 激安ラーメンと我が家のカレー

 今日は家でラーメン作りに挑戦。

 しかもただのラーメンじゃありません。

 スーパーで安い食材だけを選んで作った激安ラーメン。


 果たしておいしいのかどうか。

 自分で味見をしてみると、ちょっと物足りない気もするけどおいしくはある。


 さっそく招いている小路ちゃんに食べていただこう。

 ちなみにリビングには柑奈ちゃんとひまわりちゃんもいる。


「さあどうぞ、小路ちゃん」

「いただきます」


 別に妙なものを作ったわけではないので、普通に食べる小路ちゃん。

 二口ほど食べて、感想。


「普通においしいです」

「本当? よかった」


「激安でこれなら、本気だともっとおいしいわけですね。私のために毎日ラーメン作ってください!」

「え?」


 それって新しいプロポーズ?

 なんてちょっと浮かれてにやけていると、近くにいたひまわりちゃんが狂犬化した。


「がお~!! 小路ちゃん! この前からなずなさんにベタベタしすぎ!」

「そう?」

「もしかして、なずなさんのこと好きなの!?」


 いや~ん、私の目の前でそんなこと聞かないで~。

 告白してないのに振られたみたいになっちゃうじゃない。


「好きだよ」

「え?」


 え?


「好きだよ。おいしいもの作ってくれるし、一緒に神社行ってくれるし。好きにならない方がおかしいよ」

「そ、そんな……」


「柑奈ちゃんが羨ましい。私もこんなお姉ちゃんが欲しかった」

「あ、そっちか……」


 うお~!

 ちょっと私も期待しちゃったよ~!


 危ない危ない。

 勘違い女になっちゃうところだった。


「モテるわね、なずなちゃん」

「あ、お母さん。帰ってたんだ」


 ちょうどその時にリビングへ入ってきたお母さん。

 話が聞こえていたようでからかってくる。

 お茶目である。


「ラーメン作ってたの? よ~し、私もとっておきのラーメンを」

「ダメだよ、今激安ラーメンにチャレンジしてるんだから」


「あら、そうなの? だからそんなにもやしがいっぱい入ってるのね」

「世の中インフレしてるし、収入は増えないしで大変なんだから!」


「あ、はい……」

「大和撫子たるもの、それでもおいしいものは作れないとね」


「た、たくましいのね、なずなちゃん……」


 何言ってるのこの子……、みたいにな顔をされた気がする。


「でも残念。私のチーズカレーラーメンを披露する日はなさそうね」

「いつでも作ってくださいお母さま~!!」


 必殺、手のひら返し!

 チーズとカレーだよ?

 食べたいよね~♪


「私も呼んでください!」


 小路ちゃんも目をキラキラさせながら身を乗り出す。

 和の少女小路ちゃんをも虜にするチーズカレー。


「ふふふ、いいわよ~」


 なんだかお母さんもノリノリ。


「私も~!」


 ひまわりちゃんも参加っと。

 なんだか楽しいそうなことになってきたぞ~。

 紅葉さんにも声をかけてカレーパーティーだね。


「話は聞かせていただきました!」

「え、珊瑚ちゃん!?」


 なぜここにいるんだろうか。


「あ、さっきそこで会ったから連れ去ってきたの」

「何しているのお母さん……」


 てっきり忍び込んだのかと思ったよ。


「なずなさん! 私が最高のカレーを作るための最高の食材を用意しますね!」

「え?」

「なので、それを使って最高のカレーを食べさせてください!」


 珊瑚ちゃんもカレー好きなのだろうか。

 さすがカレー、最強だね。

 だがしかし。


「ダメだよ、珊瑚ちゃん」

「……?」


「カレーっていうのはね、甘口のカレールーで作った安っぽい感じのがおいしいんだよ!」

「が~ん!!」


「上品なカレーもいいと思うよ。でも私の食べたいカレーは我が家のカレーなんだ」

「ががが~ん!!」


 よよよ……と泣き崩れる珊瑚ちゃん。

 ものすごく嘘くさいが。


 ちなみに私はカレードリアとカツカレーが好き。

 それからカレーラーメンやカレーうどんも大好きだ。


 そして甘口がいい。

 わたしにとってカレーは甘い食べ物なのだ。


 ……ちょっと言いすぎか。

 甘くはないね。


「私も食べたいです! 白河家のカレー!」


 即復活珊瑚ちゃん。

 けっこうな人数になったね。

 こうなったら他のみんなも呼んでみたくなる。


「みんなでキャンプとかして、そこで作ったら楽しそうだよね」


 ひまわりちゃんが思いついたように魅力的な案を出してくる。


「確かに楽しそう! それに大人数のキャンプだったらいろんなカレー作ったりできるしね」

「いいですね」


 小路ちゃんも楽しそうに頷く。


「でしたら、キャンプ場くらいは私の方で用意しますよ」

「それは助かるかも」


 珊瑚ちゃんが用意してくれるなら、それはもういい感じの場所を確保できそうだ。

 そこは素直に甘えておきたいね。


「いつもありがとう」

「ふふふ、いいんですよ。いつかは一緒に暮らすんですから、その予行のつもりで」

「え、なんだって~?」


 思わず聞き返してしまったよ。

 本当に最近の珊瑚ちゃんは突然突っ込んでくるからなぁ。

 油断していると反応が遅れてしまうよ。


 なんにせよ、楽しいイベントが出来上がったわけだ。

 いつになるかわからないけど楽しみだなぁ。


 よ~し、今日はキャンプアニメを見て勉強だ~!

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