第160話 スカートが舞い、胸が躍る
バッティングセンターでひまわりちゃんをナイスショットした私。
さてさて、今度は紅葉さんの番だ。
バットを構える紅葉さんの後ろに付き、ばっちりとシャッターチャンスを狙う。
そしてボールがマシンから放たれる。
まあ正直なところ、見せパンとして何を履いてるんだろうなぁ~くらいに思っていた。
しかし。
「えいっ」
「え?」
紅葉さんがスイングをすると、ふわりと舞うミニスカート。
そして私の目に飛び込んでくるおパンツ様。
ほ、本物だ……。
え?
履き忘れか何かですか?
衝撃のあまり写真を撮り損ねたけど、私としてはそれどころではない。
紅葉さんの方を見ると、ちょうどこちらを振り返ってウインク。
わ、わざとだこの人。
私のこと誘っているのか。
くぅ~。
負けるわけにはいかない。
私は健全な女子高生なんだ。
私はロリコン!
私はロリコン!
私はロリコン!
ふぅ~。
なんとか平常心を取り戻したぞ。
危なかった。
これはもうひまわりちゃんのスカートの中を撮影することに全力を注いだ方がよさそうだ。
じゃないとお縄につくかもしれないしね。
……。
あれ?
なんかおかしい?
ま、いっか♪
よ~し、今度はひまわりちゃんを動画に収めちゃうぞ♪
私はひまわりちゃんのお尻をロックオンしスマホを構える。
その時だった。
「ちょっといいかな?」
「へ?」
その瞬間に流れる冷や汗。
や、やらかした……。
これはもう現行犯逮捕でありますよね?
恐る恐る振り返ると、そこにいたのは笑顔のお巡りさん。
我が街の平和を守る、頼れるお姉さんのめぐりさんだった。
「セ~フ……」
「いや、アウトだと思うよ?」
「ですよね~」
「まあ、いいけどね。私以外のおまわりさんに見つかったら勘違いされちゃうよ?」
「そ、そう! 勘違い、勘違いなんですよ! だからきっと説明すればわかってくれますって」
「だといいね」
うぐぐ……。
いや、きっと世界はみんなが思っているよりやさしいはずなんだ。
はずなんだ~!
と、そうこうしているうちにひまわりちゃんたちの勝負が決着した。
「ま、負けた~」
「ふふん」
どうやら勝負に勝ったらしい紅葉さんは、誇らしげに胸を張った。
ほどよいサイズの胸が揺れる。
いかん、危うく私の手が伸びていってしまうところだった。
それこそ現行犯逮捕だよ。
今日は紅葉さんに誘惑されっぱなしだ。
もう一度深呼吸をしておこう。
私はロリコン!
私はロリコン!
私はロリコン!
ふぅ~。
これでもう捕まる心配はなさそうだ。
「なずなちゃん、見てましたか!」
「ええ、見てましたよ!」
主にパンツですけど。
「私が勝ったので、次のお休みは私とデートですよ」
「え?」
私、勝手に賞品にされてたの?
まあいいけど。
紅葉さんとふたりだけで出かけるのは久しぶりな気がするし。
「じゃあ、次は私の番ですね」
「おや」
しれっと私たちの中に入ってきたエンジェルボイス。
それはめぐりさんの従妹であるマッスル少女ありさちゃんだった。
なぜいる……。
「ひまわりちゃん、私と勝負だよ」
「望むところ! なずなさんは渡さないから」
「え? なずなさん? 私の今日の獲物はひまわりちゃんだよ?」
「え?」
え?
「ひぃいいいいい」
意味を理解して後ずさるひまわりちゃん。
「わ、私に何をするつもりなの!?」
「ふっふっふ、それはもう大人の薄い本みたいな目に合ってもらおうかな」
「よくわからないけど、負けないから!」
そして勝負が始まった。
ひまわりちゃんが勝ったときのご褒美が決まってないまま……。
「めぐりさん、いいんですか? ありさちゃんが勝ったら大変なことになるかもしれませんよ?」
「私は何も聞かなかったことにするわ」
「ええ~」
「さてと、今日は私も楽しんじゃおうかな~」
そう言ってめぐりさんも中に入っていった。
今日は遊びに来ていたのか。
そういえば私服だもんね。
めぐりさんはさすがにまわりのみんなとは違って素人っぽい感じのバッティングだった。
でもおまわりさんとして鍛えられているのか、たまに鋭い打球が飛ぶのはさすがだと思う。
服装的にもスカート丈が長く、チラリの可能性はほぼないが、違うところが揺れているので良いです。
隣ではひまわりちゃんたちがヒートアップしてミニスカートがひらりはらり。
逆隣りでは紅葉さんが快音を鳴らす。
そして胸を揺らす。
スカートが舞い、胸が躍る。
そんな幸せな光景を、私は写真ではなく動画で収めることにした。
いや、もうね。
「絶景ですね~」
「みこさぁあああああん!?」
普通にびっくりしたよ、もう。
というか、いったいどれだけの知り合いがここに集まってるの?
何が起きてるの?
私の居場所は常に捕捉されて共有でもされているのだろうか。
例えばこの場にいない珊瑚ちゃんあたりに。
きょろきょろとあたりを見る。
あ、いた。
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