第116話 小学生同士仲良く……
体を洗い終えた私は、ありさちゃんと入浴をともにするためお風呂へ移動する。
ありさちゃんが先に行ってしまったため、追いかける私から見えるのはタオルから少しだけ隠せていないぷりぷりのお尻だけだ。
それだけでも十分私の鼻の下を赤く染めあげそうになっているけどね。
ありさちゃんがお湯に浸かり、ちゃんと腰を下ろしたのを確認してから私もその隣に突撃する。
私の姿を確認するなり、ありさちゃんにジト目をむけられてしまうが心地良い。
そして私の後に続いて逆側にひまわりちゃんたちが入ってくる。
もしかして今がチャンスなのでは!?
そう思い、全身がお湯に浸かる前に、その生まれたままの姿を拝もうと一瞬で振りむく。
しかし、ひまわりちゃんの大事なところはうまい具合に紅葉さんの腕や手で隠されていた。
さらにそんな紅葉さんの大事なところはひまわりちゃんの体で見えなくなっている。
こんなことがあるのでしょうか。
謎の光線と同じようなものなのだろう。
まあいい、抱きついているふたりの姿だけでも十分鼻血ものである。
大事な部分は次回へ持越し、今は脳内コラージュで我慢だ。
「仲のいい姉妹ですね」
と、顔をだらしなく緩ませている私に突然ありさちゃんが話しかけてくる。
完全に相手されてないと思ってたからちょっと驚いてしまった。
しかし、姉妹?
ああそうか。
「あのふたりは母娘だよ」
「え……、そうなんですか? 若い……、お姉さんと同じくらいの歳かと思ってました」
「だよね」
紅葉さん、やっぱり女子高生にしか見えませんよ?
「じゃあ、そういうわけで、ありさちゃんもおとなしく私の腕に抱かれよう?」
「何がじゃあなのかわかりません」
「大丈夫だよ。すぐに何もかもがどうでもよくなるから」
「怖っ! いったい何をするつもりなんですか……」
ありさちゃんは自分の身を抱きしめるようにしながら、私から少し距離を取った。
まあ、私も少し余裕がなかったから、今日のところは勘弁してあげよう。
しかし、最近お風呂イベントをいくつかこなして、私もレベルがアップしているはずなんだけどなぁ。
もしかすると停滞期に突入しているのかもしれない。
ここはくじけずに鍛錬を重ね、いつか達人の領域へ足を踏み入れようじゃないか。
というわけで、今はお湯の中になんとか見える程度の裸を拝んでおくだけにしよう。
って、ほとんど見えないし!
よく見たらここミルク風呂じゃないですか!?
この世界は私に対して厳しすぎませんか?
まあいい、そのうち拝める機会も訪れることでしょう。
「それにしても、その大きな胸にしたたるミルク色のお湯って、なんだかドキドキしますね」
「ひぃっ! ありさちゃんの変態!」
拝まれていたのは私の方だったのか。
「まさか最初からそれが目的で私をミルク風呂に誘い込んだんだね!?」
「ち、違いますよ。私はただお姉さんに体を見られるのが恥ずかしかったから。でもいっしょにお風呂入りたかったし……」
「え……、そんな、ありさちゃん!」
「きゃ~! こっち来ないでくださ~い!」
「が~ん」
どさくさに紛れて抱きつこうとした私だったが、思いっきり嫌がられてしまった。
ショック。
しかし、私にはまだ狙っているチャンスがある。
それはここから出る時。
お湯から出て、体にタオルを巻くまでの間にどうすることもできない一瞬がある。
その一瞬をばっちり脳内へ保存してみせるのだ。
しばらくの間お風呂を堪能し、その時を待つ。
「さてと、私はそろそろあがろうかな」
来た……!
「目つぶし!」
「ぎゃ~!」
すっぽんぽんを拝もうと目を見開いた私にむかって、なんとありさちゃんはお湯をぶっかけてきた。
私が回復するまでのわずかな間に、ありさちゃんの体にはばっちりタオルが巻かれていた。
くぅ~、なんてガードが固いんだこの子。
ふふ……。
ふふふ……。
「じゃあ先に行ってますね、お姉さん♪」
なかなか攻略しがいがあるじゃないですか。
「次は負けない!」
私はその場で立ちあがり拳を握る。
「「おお~!!」」
とその時、なにやらまわりから驚いたような声と妙な視線を感じた。
見ると同じ湯船に浸かっていたお姉さんたちが私の方をむいている。
やだ、私今すっぽんぽん!
すぐさまタオルを羽織り、視線から身を守る。
恥ずかしい……。
ばっちり見られてしまった……。
顔が熱くなるのを感じながらふと視線を隣にむけると、天に召されたような顔をしたひまわりちゃんと紅葉さんの姿が。
こっちにもばっちり見られてしまったか……。
これはもう私も見せてもらわないと釣り合わないね。
とりあえずありさちゃんを追いかけないといけないので、ふたりを早急に回復させ脱衣所にむかう。
残念ながら着替えには間に合わなかったが、それはもうあきらめていた。
もう勝負は次へ持越しだ。
やはり裸の付き合いをしたおかげで心がつながったのか、ありさちゃんは私たちが着替え終わるのを脱衣所の入り口辺りで待っていてくれた。
ふふ、これはもう半分攻略したようなものだね。
その後、私たち4人は休憩コーナーへとむかい、ドリンクを飲んでから帰ることにした。
「はいどうぞ」
「ありがとうございます」
紅葉さんの奢りでみんなホットココアを手にする。
一口飲むと身も心もほっこりでございます。
「ありさちゃん、なずなちゃんだけじゃなくて、同じ小学生同士ひまわりちゃんとも仲良くしてあげてくださいね」
紅葉さんがまったりした感じで言うと、これまたありさちゃんもまったりした感じで答える。
「は~い、もちろんですよ~。まあ、私中学生ですけどね~」
「え……」
しまった、そう言えば年齢も聞いてないのに、見た目だけで小学生だと思い込んでしまった。
私としたことがこんな失態をやらかしてしまうなんて。
しかし、本当に小学生にしか思えないくらいに幼く見える。
あれ、と言うことは……。
「私、触るの我慢しなくてもよかったのでは?」
「何言ってるのお姉さん。ダメに決まってるでしょ。通報しますよ?」
ダメだったかぁ。
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