第42話 お泊り果南ちゃん
「そういえば果南ちゃん、今日泊まるところはどうするの?」
お風呂からあがり、いろいろあった後、私のベッドでくつろいでいる果南ちゃんに声を掛ける。
小学生だけでホテルには泊まれないし、どこかに親御さんが来てるのだろうか。
「え~、何言ってるんですか? 今日はお姉さまの抱き枕になるって決まったじゃないですか」
「いやいやいや、まだ泊めるって決まってないんだけど!」
家に泊めるならお母さんにも話さないといけないし……。
「ひまわりちゃんに負けたらどうするつもりだったの?」
「元々泊めてもらうつもりで来ましたから! ダメだったら仕方ないので茜ちゃんのところに」
「ああ、そっか、従妹だもんね」
私の家に泊まるよりはまだ了承してもらえる確率は高いだろうけど。
それでもなんで先に約束してから来ないんだろう。
意外と無計画だな、この子。
「ていうか、泊っていったら明日の学校どうするの?」
「休むに決まってるじゃないですか~」
「え~、ダメだよそんなことしちゃ」
「お姉さまがそれを言いますか」
「うっ」
そういえば私も学校休んで、柑奈ちゃんの学校行事に付いて行ったんだった。
これは何も言えないな。
「ただいま~」
そんな話をしていると、ちょうどお母さんが帰ってきた。
私は柑奈ちゃんと果南ちゃんを連れてリビングへとむかう。
「おかえりお母さん」
「ただいま。あらその子は?」
「茜ちゃんの従妹さんなんだ。この前柑奈ちゃんの学校行事に付いて行った時に知り合ったの」
「へ~。そんな偶然があるのね」
「それでね、今日この子うちに泊めてもいいかな?」
「あら、別にいいけど、なずなちゃんちゃんと我慢できるの? かわいいからって襲っちゃダメよ」
「そんなことしないよ……」
まあ、疑われても仕方ないことはしてるけどさ。
「よかったね果南ちゃん」
「はい、ありがとうございます」
果南ちゃんは私とお母さんにペコペコとお辞儀をした。
変態なところを除けばなかなかしっかりした子だと思う。
「まあ、なずなちゃんの部屋は危険だし、柑奈ちゃんの部屋に泊まるといいんじゃない?」
お母さんは私のこともっと信頼してほしいなぁ。
いろいろ怪しい私だけど、そんなイケナイことに手を出したことはないよ?
でもまあ、歳も近いし、柑奈ちゃんの部屋の方がいいかもしれないけど。
果南ちゃんの場合、逆に私の身に危険があるかもしれないしね。
「どうかな、柑奈ちゃん」
「え、いや、その、私の部屋は……」
柑奈ちゃんはめちゃくちゃ慌てた様子で戸惑っていた。
そういえば私も入れてもらったことがない。
いったい何があるんだ、あの部屋には……。
「お母さんの部屋は?」
「え、いや、その、私の部屋は……」
なんで柑奈ちゃんと同じ反応なんだこの人。
そういえばお母さんの部屋にも入ったことないような……。
お母さんはまともな人のはずなんだけど、いったい何が隠されてるんだろうか。
「じゃあ、私の部屋でいっか」
「やった~!」
私の部屋で寝ることが決まると、果南ちゃんは大喜びして抱きついてきた。
むふふ、やわらかいですな。
今までの小学生とは違い、そこにはたわわなものが実っているのです。
これは果南ちゃんの大きな武器かもしれない。
初めて会ったときとは違って、今は果南ちゃんにもドキドキしてしまう。
こんな状態でこの子を抱き枕なんかにしたら……。
目覚めた時にとんでもないことになってそうだ。
これはお布団を別に用意するしかないかも。
「お母さん、お布団って余ってたっけ?」
「ないわね。柑奈ちゃんの使ってるのが元々お客さん用だったから」
「そっか」
「一緒に寝ればいいじゃない。チャンスよチャンス!」
「お母さん、それでいいの……?」
私が何かやらかすのを期待されてるのだろうか。
ちょっと応援されてるんだけど。
「ささ、そろそろご飯にしましょうか。みんなお風呂入ってきたら?」
「あ、私たちさっき入ったんだ。お母さん入ってきていいよ」
「そう? ならこれ温めておいてくれる? 手抜きしたくて買ってきたから」
「そういえばいったいどこに遊びに行ってたの?」
「秘密~」
「そうですか」
思えばお母さんも私に隠し事多いよね。
たまに奇声が聞こえてくるときあるし、あれは追及しちゃいけないやつなのかな。
晩御飯も食べ終え、しばらく私の部屋で遊んだ後、そろそろ寝ようとなって柑奈ちゃんは自分の部屋に戻っていった。
果南ちゃんのかばんにはばっちりとお泊りセットが入っていて、今はかわいい寝間着姿だ。
これを見たらばっちりいつもの私らしくスマホのカメラで連写してしまった。
ただこの子の怖いところは、それをすると私も同じく撮られてしまうことだ。
「お姉さまの寝間着姿ゲットです!」
「喜んでもらえてうれしいよ……」
とりあえず撮影は終えて、ふたりでベッドに入った。
別に何かするわけではないので、そのまま電気を消して目を閉じる。
あ、そういえば抱き枕にする権利を得ていたはず。
今ここでその権利を行使させてもらおう。
私は後ろに振り返って、ぎゅっと果南ちゃんを抱きしめる。
「わひゃっ! お、お姉さま!?」
「抱き枕……、なってくれるんでしょ?」
「はわっ、抱き枕……、そうでした」
「何かと勘違いした?」
「そそそ、そんなことはありませんよ!」
声だけで果南ちゃんが慌ててるのがわかる。
顔を見れないのが惜しい。
きっとかわいいくらいに照れてるんだろうなぁ。
私はやわらかい果南ちゃんの体を抱きしめながら、髪の毛に顔を沈めて目を閉じた。
これはよく眠れそうだ。
もう思いながら寝ていると、しばらくして果南ちゃんがもぞもぞと動き始める。
「どうしたの果南ちゃん、おトイレ?」
「いえ、その……」
「?」
果南ちゃんは何やら言いづらそうな感じでもぞもぞ動き続けている。
そしてぼそっととんでもないことをつぶやいた。
「お姉さま、実は私、寝る時は裸なんです」
「……今日は我慢してね」
「お姉様! 私と一緒に裸族になりませんか!」
「……今日は我慢してね」
私は抱きしめる力を強めて、服を脱ごうとする果南ちゃんを抑え込む。
くぅ~、もったいな~い!
なんでいい子ぶってるの私!
せっかくのラブラブタイムチャンスだったのに~!!
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