XI にゃおにゃおにゃお
ネコにこんばんはしたらレスポンスあり
「ボクトは猫派?犬派?」
「うーん」
寮の台所でレイジさんのお手伝いをしているとミコちゃんが調理台(低身長を補う台のことだよ)に乗ったまま煮干しのはらわたを取っているボクに聞いてきたんだ。
「猫!」
「じゃあ神社だね」
「?猫が神社って?」
「ふふん。ボクト、『
「?ないよ」
「ボクト〜、情報にのりおくれてるよ。なぜか猫がいっぱい集まってくる神社があるってニュースになってるんだから」
「へえ。どこの神社?」
「
「あ。あそこがそうなんだ」
「ボクト、夜になったら行ってみない?」
「え?夜に?ダメだよ、ボクたち5歳なのに夜にお出かけしちゃ」
「ところがボクト。今日はハロウィンでしょ?」
「うん」
「ハロウィンだからトリック・オア・トリートで子供は夜の街を歩いてもいいのよ」
「ちょっとミコちゃん」
レイジさんがちょっとだけ怖い顔をしてミコちゃんに注意したよ。
「ミコちゃん。ハロウィンだからなんでもいいってわけじゃないよ。大体ミコちゃんは花まつりも七夕も年末の二年参りの初詣も全部夜にお出かけしてるだろう?その上ハロウィンまで。一体ミコちゃんは全部意味とか理由とかわかって行事に参加してるのかい?」
「えーと。ハロウィンはよくわかんない」
「レイジさん」
ボクも最初は夜のお出かけはいけないと思ったんだけど、でもやっぱり猫が見たくてね。レイジさんに聞いてみたんだ。
「レイジさん、大人のひとが一緒なら行ってもいい?」
「そうだね。それならいいと思うよ」
ちょうどその時、高等部の授業が終わったミチルちゃんとクルトくんが寮に帰ってきたんだ。
「あ!大人っ!」
「おっ!?」
ミコちゃんに大人って言われてクルトくんがものすごくニコニコした笑顔になってこう言ったよ。
「そうかあ・・・ついにミコも俺の大人っぽさが分かってきたかあ・・・」
「はいはい。大人2名、確保!」
夜になってね、ボクとミコちゃんとミチルちゃんとクルトくんは閉館した図書館のエントランスを通り過ぎて喜屋都神社の境内に入ったんだ。
「うわ。もういるよ、鳥居の横に」
「うん。なんかこう睨んでるね」
クルトくんが黒猫を見つけてミチルちゃんに声を掛けて、それでミチルちゃんが言うとおりにその黒猫はぺたん、て石畳にお腹をつけたままボクたちの方をほんとににらんでたよ。
「なんか、かわいくない」
「そう?ミコちゃん、かわいいと思うけどな」
「え!?ボ、ボクト!ア、アタシがかわいいって!?」
「あ。うん、ミコちゃんももちろんかわいいけど、この黒猫もかわいいよね」
「⚡︎⚡︎⚡︎〜!!そ、そうだな。め、目つきは悪いけどかわいいよな」
あれ?ボクなにか変なことミコちゃんに言ったかな。
「ボクトくんは猫が好きなのはどうして?」
「かわいいからだよ、ミチルちゃん」
「え?え?わ、わたしのこと、かわいいって!?」
「?うん。ミチルちゃんもかわいいけど、猫もかわいいよ」
「⚡︎⚡︎⚡︎〜!!ボ、ボクトくん、もう一回言って?」
「?猫はかわいいよ」
「そ、そうじゃなくって、全部言って!?」
「????ミチルちゃんもかわいいけど、猫もかわいいよ????」
「あーあ。ボクトばっかり」
?クルトくん、ボクばっかりってなにが?
ボクたちはまずは神さまにお参りして、それから猫が集まってくるのを待ってたんだ。
最初はさっきの黒猫のほかに白猫とか白と黒の模様の猫とかトラジマの猫とか色々いたよ。でもまだ数はそんなに多くはないよ。
「なんか思ってたほど盛り上がらないなあ・・・ミコ、この程度で猫社なんていう風に呼ばれてるのか?」
「クルト、まだまだこれからよ。もうじき『KOC』が来るって情報仕入れてるから」
「なんだKOCって?」
あ。
なにか来たよ!
「わっ!」
「わわっ!」
「わわわっ!」
「これが
じいっと見てたクルトくんがミコちゃんに言ったよ。
「・・・ぬいぐるみか?」
「違う!猫の王様!キング・オブ・キャット!」
ミコちゃんはそう言うけれども、ボクもぬいぐるみみたいに見えたよ・・・だから、その・・・
「かわいい!」
「ちょ、ボクト、大丈夫か?」
「え?クルトくん、なにが?」
「だってその猫、顔から首から胴体から下手したら尻尾に至るまで、みごとに太い筒みたいだぞ。起伏というものがまるでない」
「ボクトくん、わたしも猫好きだけど・・・ちょっとここまで来ると猫の容姿じゃないと思う。そう・・・猫の抱きマクラみたい!」
だからかわいいのに。
「にしても大きいなあ・・・尻尾まで入れたら2mぐらいあるんじゃないか・・・ちょっとこれはなあ」
「クルト!失礼なこと言わない!王様なんだから大きくて当たり前でしょ!?」
「そうそう」
え
ええ?
えええ?
「しゃ、喋った!」
「猫は猫とて喋るもんさ」
「ば、化け猫!?」
「失礼だなあ」
なんだろう。
どういうわけかな、今までいろんな神さまやイカ・ウェポンだって見てきたボクたちなのに、猫がしゃべったことにほんとうにほんとうにびっくりしたんだよ。
「よいしょ・・・と」
しかも、抱きマクラみたいな胴体に短い手足なのに、あぐらをかいて座ったよ。
それでね、トトト、って音もかすかに100匹ぐらいの猫たちがいっぺんに集まってきてね、ちいさな木の箱とそれからなんだか木の細いものを口でくわえて来てKOCに渡したよ。
「タ、タバコ吸ってる!?」
「ぷう・・・これはキセルだよ、お嬢ちゃん」
「こ、こら!猫のくせにミチルちゃんに勝手に話しかけるな!」
「ふう・・・あんちゃんよ、そんなこと言うならアンタだってアッシに馴れ馴れしく話しかけてるじゃねえですか。それにここはアッシの縄張りだ。よそん
「う・・・そ、それもそうだな・・・俺はクルト」
「ミコだよ」
「ミチルよ」
「ボクトです」
そしたらKOCがね、立ち上がったの!
「わあ!二本足で立ってる!」
「そう驚かんでくだせえよ・・・二足歩行は人間の専売特許じゃありませんよ」
「な、なんなんだオマエは!?」
「ふっ・・・クルトさんとやら。アッシはねえ、こういう
今度は子猫がカードをくわえてもってきてKOCに渡してね、それをKOCはボクたちに、ぴらっ、て見せてくれたんだ。
『
「普通が一番でさあ」
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