ミチルちゃんの笑顔

「ミチルちゃん、いつも楽しい?」

「わたし?うん。楽しいよ」

「ホントに?」

「どうしたの、ボクトくん?ホントに楽しいけど?」


 ボクは笑いの神さまのお話をしてあげたんだ。ココロが泣いてる時はお顔も泣いていいって。


「だいじょうぶ。わたしはちゃんと泣く時は泣いてるから」

「ボク、ミチルちゃんが泣いてるところはあんまり見たことがないよ」

「あのね、ボクトくん。わたし自分の部屋でちゃんと泣いてるから」

「・・・なんだか、かわいそう。ボクの知らないところでミチルちゃんは泣いてるんだね」

「ありがとう。ボクトくんはやさしいね・・・でも心配しないで。それは神さまの説明不十分だから」

「せつめいふじゅうぶん?」

「そ。泣きたい気分は一日じゅうじゃないから。ボクトくんだって寂しい時ってあるでしょう?」

「うん」

「その時に花を見たら気分はどう?」

「オジギソウとかミコちゃんからもらったサボテンの花を見ると、なんだか楽しくなるかな」

「同じだよ。わたしも寮の自分の部屋で泣いて、こうやって共用スペースに来てボクトくんの顔を見るとね、楽しくなるから」

「うん・・・」

「だから、だいじょうぶ」


 ボクは付け足したよ。


「でも、それでも悲しかったら、ボクの前でも泣いてね」

「うん、わかった」


 レイジさんが星型のアルミカップで焼いてくれたスイートポテトをふたりで食べたよ。

 甘いものでもココロが笑ったみたい。

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