ふと、かわいらしい女の子があたしのことを見ていた。とても楽しいものを見つけたように、目を輝かせていた。

「あなたはだあれ?」

 声をかけられ、気がついた。あたしは今、1番見られてはいけないとこを見られた、と。殺す必要があるか? と悩んでいる間にそのかわいらしい女の子はあたしの横にやってきた。

「お姉さんが殺したの?」

「きれいなピンク色でしょ? かわいい女の子だったのよ。

きっと楽しい人生を送って幸せな未来があったのにね。あたしが壊しちゃった」

 不思議と素直な言葉があたしから出て驚いた。あたしは今まで他人と会話をしたことがなかったから。女の子はとびっきりの笑顔で、死体を処理しているあたしを見ていた。もしかしたら、この女の子はあたしと同じ感性を抱いているのかと思った。

「あなたの内臓もきれいなピンク色なのよ?

見てみたい?」

「うーん。まだ死にたくないなぁ……。

だってこれだし」

と言って見せてくれたのは左手の甲の部分。


 その少女との会話は強く印象に覚えている。


 そして腹立たしいこと、左手の甲に数字が刻まれた。本来では国の施設で、特別な処置が行われる。

 

 それは今を生きるものを守るためのものだ。しかし私は隠した。だって人を殺すという、唯一の趣味が禁じられるから。


 美咲とあたしの境界線があやふやになった。もう戻れない。

 死体の処理もしなくなった。もう逮捕、待ったなしだ。

 

 そして女子中学生の頭に釘を刺して遊んでいたら、警察が来た。誰かが通報したのだ。

 でもまあそれなりに楽しかった。

 だから私は自分の首を掻き切って「死」という甘美なものも受け取った。

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