第12話姉妹

 セレーナの治療を終えた俺はセレーナと昼食のハズだった。


「フンッ!フンッ!フンッ!」


 上半身裸の爺さんが筋トレしてる。

 食堂で待ってたらこの爺さんに声をかけられた。

 そして後から来たセレーナに爺さんが交渉して俺は拉致された。


「俺、ホントならセレーナとラブラブ昼食の予定だったんです。貴方の筋肉は腹の足しになりません。サヨナラ」


 ガシッと肩を掴まれた。


「はっはっは、待ちたまえ。学院長の弟子殿が気になったもので」

 そう言って目の前に立った。


「『雷帝』に気にかけて貰うほどの人間じゃないです」

「是非、手合わ……」


 ━━ドロンッ!





 ***



 怨嗟の森・セツナ邸



「あ"~!ふざけんな!誰が手合わせなんかするかッ!」


 先程のドロンッはアルカのスペシャル魔法道具『お家帰りたいん』だ。

 これはシアと俺で作ったお札型の魔法具。

 破ると登録している場所へ転移出来る。

 しかも転移している最中に俺に触れることは出来ない為、一緒に転移するなんて間違いも起きない。


「セツナが来るまで寝るか」


 清掃員の仕事も終わり、帰るだけだった。

 目覚まし魔法具をセットして眠った。








 ***




 元学院長邸・地下室






 魔法練習用の地下室でお姉様を召喚することにした。


「お姉様、召喚させて頂きます。〈魔導と予知を与えし精霊王 凪ぎ払え ヴィネー〉!」


 目の前に漆黒の風が渦巻きお姉様が召喚された。

 真っ黒い髪に、金色の瞳。ゆったりとした布を巻き、真っ白い肌。そこには確かに七年前のお姉様の姿があった。


「セリーナ姉!」


 私は感極まって直ぐ様抱きついた。


「ふふ、ごめんね。君を一人にしてしまって。ずっと君とこうやって話したかった」

「そんな事無いです。こうやってお姉様と再び会えて嬉しいです」

「あれ、もうセリーナ姉って呼んでくれないのかい?」

「す、少し恥ずかしくて。さっきのはつい出てしまって。私も十七です」

「いや、僕に比べたらみんな子供だよ」

「それはお姉様が精霊だからで!」


 それから私はお姉様に色々な事を聞いた。お姉様が遥か昔にこの世界にやって来た悪魔で『原初の賢者』に封印されたこと、今まで出てこれなかった事情。


「僕は精霊じゃない。この世界で言うモンスターみたいな悪とされる存在だ。それでも僕を姉と呼ぶかい?今なら契約も切ることが出来るよ?」

「いいえ、お姉様が悪魔なのは驚きましたが……それでも私はお姉様と共にありたいです」

「そっか、ありがとうセレーナ。例え血の繋がりが無くても私達は姉妹だ」

「はい!」

「さて、セレーナの今後について話さないといけないね」


 お姉様が先程の笑みを消して真剣な眼差しでこちらを見て言った。


「さぁ、君の望みは何だ?このヴィネー、我が妹のために力を振るおう」


 お姉様の周りに漆黒の風が渦巻き、私に手を差し伸べながら問う。






「私の望みはただ一つ。私の復讐を果たすことです」






「その願い、共に叶えよう」











 

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