三日目

その夜の二十一時頃、目が覚めた私は二度とDXMはやらないと心に決めた。ぼやけた頭は「キーン」という耳鳴りを何度も起こした。自殺したい気持ちだけはハッキリと残っていた。これは薬によって湧いた感情ではない。普段抑圧していた願望が目を覚ましただけなのだ。

ふとSNSに昨日の自分の配信に来ていたリスナーからダイレクトメッセージが届いていた。文面が面倒なのと人恋しさで直ぐに通話を要求し、話をした。


「昨日君が凄く良さそうにしてたから放送後すぐ海外のサイトで買ってみたよ」


被害者を増やしてしまった様だ。この人は元々薬漬けみたいな物だから別に良いとしよう。実は二日連続でやったらキツくて、と粗方話した。


「怖くなって来ちゃった」


結局本人が試してハマったら残りの瓶ごと売るという話で纏まった。


それからまだ人への欲求が止まらない私は、二日前にキマりながら通話をかけまくった友人にアポイントメントを取った。お小遣いをあげるから部屋の片付けと買い出しと、私の入浴などを手伝ってくれと頼み込んだ。

友人は早朝やって来て、てきぱきとこなした。頭を洗ってくれている時間は泣いてしまった。お金が対価とは言え、こんなに全てを受け入れてくれる人が居るのかと感動した。

それからいつもの様に気持ちの良いセックスをして、暫くするとどこかへ行ってしまった。恐らく恋人の元へ帰ったのだろう。少し寂しかった。私はそのまま眠った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る