第5話 再会


 リシータは、そのほとんどの面積を森が覆っている。

 ロックボーケの中枢"セントラル"

 象徴となる霊峰"カサギ"

 僕を含め12名の同期生が幼少期に過ごした施設もここにある。


 親友ダイとも、その施設で出会っていた。


 当時の僕らの教育者はこう言っていた、

「君達は新しい時代を作る"24eyes"」と……。


 "新しい時代"ってなんだろう?

 僕が今こうして、幼竜を抱えて逃げ回ってること?


 これは単なる災難だ……

 もしくは、間違った選定で竜守になってしまった僕へのいましめか……?


 ごちゃごちゃになった頭を必死で整理しようと、僕はただ無我夢中で森の奥へ、奥へ走る。


 僕とダイの『約束の場所』

 忘れもしない、彼が僕に"友"と言ってくれた場所、

 森の奥の"一本木"

「はぁはぁ……はぁ!」

 息はもう完全にあがっていた。

(もう……走れない……!)


「ハビト……?」

 遠くから、一本木に背中を預けて崩れ落ちる僕を呼ぶ声がする……


「ハビト?!」

 確かに聞こえる……この声は……


「ダ……イ……」

「ハビト!」

 僕の意識が一気に戻ってきた!


「ダイ……はは……やっと……着いた……」

「しっかりしろ!ひとまず俺の家に!!」


 ダイとの再会で、一瞬は意識を取り戻したかのように思えたが、そこまでの疲労で結局すぐに意識を失っていた。

 朦朧もうろうとするなか、僕は事の次第をダイに話し、少し眠っていたようだ……


 …………


 はっ!とした。

 目の前にはダイがいて、

 幼竜も僕の懐で丸くなって眠っている。


「どれくらい眠ってた?」

「ほんのちょっとだよ、家に運びいれる間だけかな」

 はぁ~とため息が漏れた、

 緊張からの開放、

 幼竜に何もなかった安堵、

 ダイが変わらず"ダイ"で居てくれた事の安心感。


「話はだいたい分かった、というか今朝のうちに、俺らにもそれなりの情報が来てる」

 ダイはちょっと真剣な表情を見せた。


「逃げて来ちゃったんだよなぁ……これからどうしたらいいのか……」

 こんな弱音を吐けるのも、ダイだからだ。


「ハビトらしいな、相変わらず無計画、無鉄砲で」

 笑っている。


「こっちはいつでも本気だっての!」

 少しムッとして応える。


「それも知ってるよ」

 ニヤリと微笑むダイ。


 ダイはいつでも僕より上だった。

 勉強、運動、何をしても僕より出来た。

 でも、彼はいつでも僕を友人として、分けへだてなく接してくれた。


「だから、提案がある」

 ダイがまた真剣な表情になっていた。


「チーム24eyes、再結成と行こうぜ!」

 彼の目は大真面目だった。


「え? えぇ~?!」



 続く。


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