第14話 金も時間もあるけど、現実が糞だからゲーム世界に行きたい

あらすじ

現実はクソだ!


金も時間も有り余る億万長者の梅乃は最愛の妻を殺され、絶望に浸っていた。

サービス終了をしてから8年が経つ"あるゲーム"で知り合った二人は結婚して幸せな生活を送るはずたったのに!


現実はなんて糞なんだ!こんな世界なら金も時間もいらない、代わりに"あの世界"に俺を戻してくれ!




ーーーその願いが、彼を変える





※作者は気まぐれかつ、のんびり屋なので更新はいつになるかわかりません。よろしくお願います。


◇◆ 1








時はスマホゲーム最盛期、

MMO RPG ラストエデン〜時空の穴〜と言うゲームがあった。


タイトルにあるように様々な世界からなる階層世界…時空の穴を攻略するのが目的のゲームであるが、その最下階層にあると言われるラストエデンへ行くとゲームクリアと言うわけでもなかった。


例えば、赤い帽子を被った配管工のオジさんのゲームでは、亀から姫を救出すればゲームクリアでそのあとは何もない。精々ボーナスコンテンツくらいだか。


このゲーム「ラストエデン」では、プレイヤーを飽きさせない為、運営主催のアバターファッションショーや、対人戦トーナメント、はたまたマイホームと呼ばれるプレイヤー一人一人が自由にデザイン出来る家などサブコンテンツが充実していた。


運営の絶え間ない努力とプレイヤーからの莫大な融資(かきん)があってか、リリース開始から15年も続き、最終的には技術進歩のせいで根本的なシステムがついていけずやむなく、サービス終了に至った。


「ラストエデン」は全101階層まであると言われていたが、サービス終了までに攻略されたのは86階層までであった。

運営のパワーバランスの調整をシクじったが為に生まれた悲劇であった。


もともと、このゲームでのプレイヤーの最高Lvは120までで、当初運営はこのシステムを変更しないと豪語していた。

だが、大型アップデートをするたびにモンスターMOBを強力にしてしまうヘマをする為、毎度の様にプレイヤーもシステム強化されていった。


毎アップデートにより以下の様なシステムが追加されていった。


○転生

転生システムはLV最大値で行うことが出来、転生後はLv1に戻されるがステータス振り分けが毎+15ずつふえる。

転生は最大9回可能


○限界突破

限界突破はLV、転生ともに最大値で使用可能なシステムで、LV最大値である120の後に課金アイテム〔昇華の剣〕を使うことで最大LV145まで拡張可能になる。


○種族転生

サービス開始から丁度8年目の時追加されたシステム。

8年目より前は人間種しかなかった「ラストエデン」だが、このシステムにより、様々な種族が追加された。




などなど、

まだあるのだが、あまり書くと設定回になってしまうのでここら辺で終わらせて頂こうと思う。


種族のことは後ほど大切なので、今軽く説明すると…


人間種

誰もが最初に選択出来る種族

ステータスも万能型で、ほぼ全ての職業に適性がある


魔族種

防御力、魔法/物理攻撃力が異常に高いが命中率が低い

更に、NPCからの報酬、アイテム売却額が安くなる


森精種(エルフ)☆課金

命中率と魔法攻撃力が異常に高いが防御力が紙過ぎる為、対人戦は向かない。課金ガチャでしか手に入れられない。


土精種(ドワーフ)☆課金

防御力と物理攻撃力、命中率が高く一見最強に見えるが、とてつもなく鈍く対人戦ではサンドバッグにされる運命である。課金ガチャでしか手に入れられない。


天種

天使系の種族で魔法攻撃力、防御力、命中率が高い。ただし、キラキラ光るエフェクトのせいで対人戦は向かない。イベント優勝者のみ変更可能


闇種

悪魔系の種族でデバフや状態異常、スタンなどの特殊スキルが使える。イベント優勝者のみ変更可能


神種

全てのステータスが異常に高い。

運営の気まぐれで、全プレイヤーの中から毎年二人だけ変更可能になる。

ただ神種を殺すとレアアイテムが手に入れられるため、PK可能エリアでは追い回されたのち殺される


龍種

運営が追加予定だったが最後まで追加されなかった種族。

NPCには割といた。


雑種

運営の悪ふざけで追加された種族。

ただのネタ種族で、育成したら実は強いなど言うことは一切ない。



となる。


この中からプレイヤー達は種族を選び、更に「ラストエデン」を楽しんだ。













▼△





サービス終了から8年、

とある地方の都市の一角、一戸建て平屋の大豪邸のリビングで椅子にもたれかかってスマホをいじっている男がいた。


名前を梅乃 亮介という。


サルティナルエルダーオンラインというゲームを運営する会社の社長で、若くして億万長者に成り上がったラッキーマンである。

サルティナルエルダーオンラインは、「ラストエデン」終了後、トップの座を奪い取った大人気ゲームで、「ラストエデン」のプレイヤー達からは、続編作と呼ばれていた。


「ラストエデン」と「サルティナルエルダーオンライン」は非常によく似ているのだ。

それもそのはず、社長である梅乃は、「ラストエデン」終了というところに漬け込んで丸パクリのゲームを配信したのだ。

そのおかげで「ラストエデン」のプレイヤー達をそのまま、受け入れた「サルティナルエルダーオンライン」はあっという間に利益を上げる様になった。


そして梅乃はパクリ疑惑から逃れる為、「ラストエデン」の製作運営チームを買収し、あくまでパクリではないことをアピールした。



その社長である梅乃は、リビングにて、スマホに入っているある動画を見ていた。







ーーラストエデンで梅乃がプレイしていた際の動画である。





ああ、あの時は楽しかったなと思いを馳せながら動画を見ていた。


彼がプレイヤーを始めたころ、まだ、一介のサラリーマンだった梅乃は、少ない手持ちの金を切り崩し課金に当てていた。






その頃は、金もなく時間もなく大変だったが、そこで知り合った友人達と過ごす時間は、とても大切で楽しいものだった。


金も時間も手に入れた梅乃だが、今となってはもう手に入れられないものである。

そこから現実世界でのオフ会で知り合い最終的には結婚した妻も今はいない。


ゲーム友達から恋人へ、恋人から妻へとなった楽しい結婚生活……しかし、終わりは突然にあわられた。


とあるゲーム協会主催の「サルティナルエルダーオンライン」運営陣がプレイヤー達からの質問に答えるというイベントの際、迷惑行為をして垢BANされたのに逆上した男が主催席まで乗り上がり、質問に答えていた妻、梅乃 紗雪がナイフで重傷をおった。


すぐに犯人は取り押さえられたが、妻は病院に運ばれる間もなく生き絶え、それ以降、梅乃はボーとすることが多くなった。





そんな梅乃に反して「サルティナルエルダーオンライン」はどんどんと成長を果たし、コミック化、アニメ化、カードゲーム化、グッズ化など、様々な商品展開を見せていった。






◇◆2


チュンチュンとスズメの様な鳴き声と涼しく冷たい風がほうに当たる。

河原を歩いた様な青臭さと川のせせらぎを聞いて眼を覚ました。


うん?クーラーつけっぱなしだったか


そう思いながら、目をこすっていたが異変に気付いた為すぐ目を覚ました。


寝起きと脂肪で重い体をゆっくりと起こすとまず辺りを確認した



綺麗で浅く広い川の岸に横になっていたわけだが、周りには土手や家などが見当たらなく、ただただ生い茂った木々と草花が風に揺られてザーッと音を立てているだけである。


今時、川のそばに土手や家がないところなんて日本にあるのか?という疑問を持ちつつも、家で寝ていた自分が何故こんな場所にいるのかを探るために、とりあえずスマホで位置を確認することにした。


おや?


手をポッケに入れたのだが、スマホではなかった。

代わりに手に握られていたのは、宝石のようなものがついた棒だった。


40cmほどの棒だというのに、何故ポッケに入るのか?その謎について考えようとしたところで川に映った自分の姿を見て固まった。


あまりの衝撃に棒を落としてしまったが、完全に落ちる前に意思を持つかのように自分の手に戻っていた。


川に映りこんだのは、上等なスーツに身を包んだ中年の老けた小太りの男性ではなく、映画に出て来そうな魔法使い用の立派なロープを羽織った青年だった。


全体的に見れば白いロープであるが、所々に金の細やかな刺繍が施され、表面はうっすらと青く光っている。

頭から足まで全体が白を基調とした服で統一され、いかにもというような魔法使いの格好をしている。


最初から薄々は気づいていたもののここまで来て確信した俺は、一つばかりスキル《・・・》を使ってみることにした。


「"ホーリーレイ"」


スペルを噤むと同時に右手に握られた棒……いや杖の先端部に光が集まり出した。

そして1秒も経たずに光はレーザーのように直線に放たれると生い茂る雑草を焦がしながら何処かへ飛んでいった。



いや、そんな訳が…






もうわかっているのだが、子供じゃあるまいし、簡単に納得出来ないのだ。



ラノベの主人公でもあるまいし

なんて考えている俺をよそに、スキルにより焼かれた雑草はチリチリと音を立てて燃えていた。


もし、自分が10とか20代だったら、異世界転生だ!やったー!


なんて言えたかもしれんが生憎俺はそんな歳じゃないんだよ。

50代だそ!?しかも、あと数年で60行くような…。



いや、確かにさ、ゲーム好きだしラノベとか異世界系のサブカルチャーもやるよ?

でもさ、大成功して特に今の現状に不満もないような人がこういうのっておかしくないか?



一体どうしろって言うんだよ!



いや、まてよ?


もしかして、サプライズで俺が寝ている間に開発部の奴らがVR装置に入れたとかか?




ん?そういえば、確か部下の一人、名前は……なんだったかな?


そいつが新型のVR装置の開発に資金を出して下さいなんて言ってたような?


あ!それで開発に成功したから、まず社長の俺にやらせてくれたのかな?





なるほどな、では好意に甘えて楽しませて貰おうか!






▼△





ログイン地点から草むらを掻き分けて進むこと20分くらい、前方に柵と堀に覆われた村らしきものが見えて来た。


俺はいつも(・・・)の癖で、透明化の魔法を唱えると姿を消し、息を潜めて村へ近づいていった。



村だからといって人間のとは限らないので警戒は必要だ。

俺が大好きだった「ラストエデン」でのプレイヤー死亡原因の上位にあったのは、人間の村(セーブスポット)だと思って入ったら魔物の巣だった系だからな。


だからといっていきなり攻撃した場合、人間の村だと犯罪者の称号ついちゃうしな。



光魔法使いの特権その一である透明化魔法を使い同時にプレイヤーなら全員持っている無属性魔法のマジックバリアを展開すると村に侵入した。



久しぶりの感覚に胸を躍らせていると、やはりというべきか、魔物の巣だったようだ。

魔法使いの格好をした二足歩行の猫、そこにはケッシーと呼ばれる魔物がいた。



どう言う訳か、攻撃魔法を発動してしまうと透明化が解除されてしまうので、防御系やカウンター系、威力上昇系を発動してから攻撃をすることにした。



「"ホーリーシールド"」「"閃光の盾"」 「"クルセイドソウル"」「"ブレイブハート"」「"チャージピュアヒール"」





防御、カウンター系の魔法により、俺の周りには半透明の白い盾と魔法陣が円を描くように飛び回り、威力上昇系の魔法により身体から赤い瘴気(エフェクト)が湧き出した。




そんなもの見飽きている俺は、他のことを考えていた。

それにしても、いきなりケッシーとはついてるな、と。


「ラストエデン」ではケッシーの巣といえば、ほとんどのプレイヤーからは災害扱いされていたが、上級者達からは宝箱のようなものだと思われていた。


ドロップ品が美味しいのもそうだが、経験値やケッシーの素材である魔結晶と呼ばれるアイテムは非常に高く売れる為、俺もよくケッシー討伐の周回に行ったものだ。



と言うようなことを考えているうちに


ついに準備が整った。



あまり時間をかけると他のプレイヤーに横取りされそうだしな。



いつも通り慣れた手付きで杖を天に掲げると魔法を唱えた


「光よ具現化せよーー"ホーリーエッジ"」



ザンッッ!!



中堅レベルで覚えてられるスキルの聖魔法の一つであるホーリーエッジ

周囲の光を天に集め具現化した光の剣を敵に降り注がせるという魔法だか、現実化(・・・)したこの世界では、天に向かって光が集められると同時に周辺が暗闇に包まれ、物凄い光を帯びた剣が敵に突き刺さると同時に再び暗闇から解放された。


なんとも大げさな魔法になったものだ。


本来の効果は、光の剣で相手を地面に縫い付け、足止めすると言うようなものであったが、どう言う訳か、ケッシーどもは真っ二つにされ、高エネルギー体の光の剣により中から焼き尽くされたようだった。



まあ、こんなものか、と全く今の現状に違和感を感じずに眺めていたところではて?と気が付いた。



アイテムの自動回収がないだと!?



なんて不親切なと悪態をついたあと渋々ドロップ品を探す羽目になった。

完全に焼き尽くされたせいか肉が焼けるような臭さは感じずに手動でアイテムを回収し終えたところで、村をあとにすることにした。





◆◇3




初心者殺しの悪害(ケッシー)の村を焼き払い死体漁り……ではなくドロップ品の回収を終えてから歩くこと30分


飽きた。



おかしい、これは良くない

リアル感を出す為にわざわざ距離を出しているのかもしれないが、飽きさせるようなのは、ダメだな。

後で開発部に言わなければ……。






と、ん?


なんだあれ??



草原の奥の方、草の間からチラリと見えるナニか。

警戒をしながら草をかき分け進むと

現れたのは、トカゲみたいな顔をした犬のような生物だった。


これは、見たことない魔物だ。

魔物に出会った時の対処法は二つだ。

全速力で逃げるか、相手が動く前に超火力で倒すかだ。




ーーーよし、殺すか





と思ったところでよくよく見れば後ろに馬車のようなものが繋がられていた。


馬が牽いていないから馬車じゃないのか?




それはどうでもいいとして、これはクエストの予感!

いや、クエストじゃなかったらGMコールしてやる。





犬トカゲは見た目がキモいのでなるべく近寄らないようにしながら、馬車へ接近すると、車輪が壊れているようだった。



ついでにということで馬車の中を覗き混んだ瞬間、



ーー神速とも呼べる速さで突き出された細剣が目に吸い込まれるように突き刺さった。




ーーガィィイィィン!


いや、突き刺さる前に常時発動している無属性魔法のバリアに防がれ止まった。





「おいおい、危ねぇじゃねえか。初心者なら死んでるぞ?」


たくっ、これ考えた奴相当性格わるいな


何が起きたかわからずに死んでリスポーンしてまた30分歩いて、クエストを受けようと近づいてまた死ぬと


おいおい、うちの会社の評判を落とす気かこいつら


糞ゲーって呼ばれるのが目に見えてるわ




「……貴様、こんなところで何をしている」



いかにも騎士ですアピールをしている女が、馬車の扉を開けてヌッとあられた。

先程、俺に向けて突き出してきた細剣を右手に持ち距離を保つようにこちらに向けている。


「おっせーな、答えるの早くしろよボケ」


「なっ!?」



口を開くなりいきなり上から目線で話掛けてきた女騎士的なNPCに、聞こえるようにわざと苦情を言ったところ、フリーズしたまま動かなくなってしまった。


「うーむ、エラー起こしたのかなぁ?一回殺せば治ったりするかもなぁ…。はてどうしたものか」


目の前で手を振ったり頭を軽く叩いたりしたがやはり動かないので、なんとなく中段に向けて回し蹴りを放った


予期せぬ事態に、女騎士は"グェッ"と女らしからぬカエルのような声を出しながら地面を転がると近くにあった泥っぽい水たまりに転げ落ちた。


青筋を立てながら幽鬼のようにふらふら立ち上がった泥騎士は、先程見せたような神速で細剣を伸ばし、こちらへ着き放った。


なんらかのスキルなのか、細剣の先からは魔法的な白い斬撃が飛び出し、目に終えぬ速度で飛んできた。


それも一つではない。

例の泥騎士が量産してくれたおかげでマシンガンのように絶え間無く大量に飛んでくる斬撃




「ーー無駄だよ"聖者の盾"」


LV100突破で習得出来るスキル"聖者の〜"シリーズの一つ"聖者の盾"により、前方向に光のタワーシールドが展開された。


聖者の盾は、前方に光のタワーシールドを展開し、受けた攻撃の半分の数値分だけ自分のHPが回復するという結構使い所のいいスキルだ。

ボス戦などには相性がいいスキルなのだが、前方向にしか設置できない為、混戦やpvpには使えないのだ。


しかも、発動までに2.5秒かかるし


何というか、この泥騎士は弱い

そもそも、攻撃が届くまで3秒以上かかるとか、雑魚だ。



しかも、明らかにこちらはダメージを受けていないのに、『やったか?』とか言ってるし…。


キミ、それ絶対言っちゃあかん奴



「ねえ、何がしたいの?キミ」



「んなッ!?……何故生きている!」


「いやいや、アレで死ぬ奴なんているのか逆に聞きたいくらいなんだけど…」


「くっ…!」


殺せ?くっころ??


「…この化け物め!」


「それは鏡を見てから言……間違えてた、コレは違うセリフだったw」


「何を貴様は言っている!」


「あー、だりーな。スキップできないのかな?まだチュートリアルか?ん〜?」


よくよく考えたら、殺してもいいんじゃないかと思って来た。

この世界がどうか知らんが最近のゲームもそうだし、ラストエデンでも反撃で殺しても罪にはならなかったしな。



「うぜえから死んどけ"千華の流星"」



本来、というより、自分の認識的には隕石を召喚して敵を粉砕するような魔法だった気がしたんだが、現実となったせいか規模がヤバイ。


ん?現実だと?

ここはゲームの世界じゃないか。何を言っているんだ。


まぁ、いい。



魔法を唱えたのと同時に、視界に入る全ての空がまたしても夜へと移り変り、空に浮かぶ無数の星々から光の線が地面に向けてゆっくりと堕ち始めた…。


ヤバイ、ヤバ過ぎる…


コレは洒落にならん


魔法で泥騎士を軽くボコるつもりが惑星ごとボコりそうになったので、魔法を打ち消すスキルを発動した。


「間に合えっ!"ブレイクマジックスペル"」



ーーパリィン



ガラスが割れるような音を立つと、夜空にヒビが走りやがて砕けて昼間に戻った。


泥騎士は腰を抜かしハヒハヒ言っているが、それを無視して空を見上げると少し打ち消すのが遅かったのか、遠くの方で赤い線が地面に向かって落下しているのが見えた。






「あ、」




ーーーーードゴゴゴゴォオォォォ…!



一瞬、フラッシュを焚いたかのように真っ白になると物凄い爆音と共に砂利が吹き飛ばされて来た。


と、その余波で何処からか飛んで来た石が馬車に直撃し、粉砕した。



「ああああああ!お前ぇ!なんてことを!」


放心していた泥騎士はすぐに意識を取り戻し怒鳴りつけて来た


「こ、この馬車は、陛下のお気に入りなのだぞ!?」


馬車かよ!…そう突っ込みそうになったのを堪えて肩に手を置いた。


「まあまあ、怒るなって、前から壊れていたじゃないか?それが何処からか飛んで来た石のおかげで、無かったことになったんだ、感謝しろよ?」



「ああ、ふむ、そ、そうだな」


チョロ、こいつ大丈夫かよ


「いや、しかし、困った。私はどうやって街に帰ればいいのだろうか」


「そのくらい自分でかんがえろよ、じゃ!」


「じゃ、って何処にいくつもりなんだ!?」


「歩いて街?まで」


「街まで歩いて?何日かかると思っているんだ」












「てか、街って何処?」






























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