荀伯子1 浮薄の貴公子  

荀伯子じゅんはくし



荀伯子。潁川えいせん潁陰えいいん県の人。

要は荀彧じゅんいくとか荀攸じゅんゆうの一族である。

祖父は荀羨じゅんせん、驃騎將軍。

父は荀猗じゅんい、祕書郎。


荀伯子は若い頃から学問を好んだ。

経典や史書を博覧したが、

一方で遊びにも精を出し、

街中に繰り出しては豪遊なし、

そのため名声は低かった。


とは言え、いつまでも

遊びほうけていたわけではない。

やがて装いを正し、

駙馬都尉、奉朝請、員外散騎侍郎に。


その才能は、

すぐに宮中にも知れ渡っていた。

徐広じょこうが荀伯子の学識を重んじ、

かれと王韶之おうしょうしを拾い上げ、

その補佐に採用。

しんの歴史の編纂や桓玄かんげんらの伝記の

サポートをなした。


まもなく尚書祠部郎に移った。




荀伯子,潁川潁陰人也。祖羨,驃騎將軍。父猗,祕書郎。伯子少好學,博覽經傳,而通率好為雜戲,遨遊閭里,故以此失清塗。解褐為駙馬都尉,奉朝請,員外散騎侍郎。著作郎徐廣重其才學,舉伯子及王韶之並為佐郎,助撰晉史及著桓玄等傳。遷尚書祠部郎。


荀伯子、潁川の潁陰の人なり。祖は羨、驃騎將軍。父は猗、祕書郎。伯子は少きより學を好み、經傳を博覽し、而して通率にして雜戲を為すを好み、閭里に遨遊し、故に此を以て清塗を失う。解褐し駙馬都尉、奉朝請、員外散騎侍郎と為る。著作郎の徐廣は其の才學を重んじ、伯子、及び王韶之を並べて舉げて佐郎と為し、晉史の撰、及び桓玄らの傳を著すを助く。尚書祠部郎に遷る。


(宋書60-15_為人)




やだ、徐広さんちのこのスタッフ編成萌える……かたや琅邪ろうや王氏の末流として片田舎に引き籠って学問に専心してきた堅物、かたや学識を得ながらも放蕩の限りを尽くしてきたチャラ男……どう考えてもお互いの欠点を埋め合わせお互いの美点を引き立て合わせる組み合わせじゃないですか……尊い……。


もともと好きだった徐広さんに、こんなところでさらなる加点要素を頂戴できるとは思いもよりませんでした。ごちそうさまです。

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