毛脩之4 伐蜀を眺める  

盧循ろじゅん建康けんこうに迫ってきたとき、

毛脩之もうしゅうしは父、伯父の喪に服していたが、

そうも言ってはいられない。

宣城せんじょう內史として、姑孰こじゅく守護の任につく。


五斗米道ごとべいどう軍は阮賜げんしを派遣、

姑孰を攻めてきたが、撃退。


廬循が逃走していくと、

もと姑孰を守っていた劉毅りゅうきが帰還。

緊急時就任であった毛脩之は、

そのまま劉毅の副官の座に収まった。


が、そこで小間使いの少年を

「長置」する事件が発生。

この事件の責任を取り、免職。

ただ、その後も劉毅の副官の副官として、

ともに荊州に移動した。


劉毅の副官であるとはいえ、

もともとは劉裕りゅうゆうと親しかったひとである。

王鎮悪おうちんあく江陵こうりょう強襲に際して

同僚の任集之じんしゅうしらとともに力戦したが、

その行いが罪に問われることはなかった。


朱齡石しゅれいせきが蜀に出撃、というとき、

毛脩之は強く同行を求めた。

が、劉裕、許さない。

理由は以下の通りだ。


・蜀のひと虐殺しそう。

・蜀における毛氏の支持率最悪。

・任務終えたら死ぬとか言い出しそう。


なので毛脩之、建康に戻された。


ところで毛脩之は霊魂の存在を

頭から否定していた。

なので至るところで

御霊屋を焼き払っていた。


ぇえ……。


あるとき、建康北東の山、蔣山しょうざん

みたまやの中にいた馬や牛が

見事なものであったため、

みたまやを破壊、連れ帰った。


ぇえぇ……。


司馬休之しばきゅうしが討伐されると、

改めて荊州での任務についた。




盧循逼京邑、脩之服未除、起為輔國將軍、尋加宣城內史、戍姑孰。為循黨阮賜所攻、擊破之。循走、劉毅還姑孰、脩之領毅後軍司馬、坐長置吏僮、免將軍、內史官。毅西鎮江陵、以為衞軍司馬、輔國將軍、南郡太守。脩之雖為毅將佐、而深自結高祖。高祖討毅、先遣王鎮惡襲江陵、脩之與諮議參軍任集之等並力戰、高祖宥之。時遣朱齡石伐蜀、脩之固求行、高祖慮脩之至蜀、必多所誅殘、土人既與毛氏有嫌、亦當以死自固、故不許。還都、除黃門侍郎、復為右衞將軍。脩之不信鬼神、所至必焚除房廟。時蔣山廟中有佳牛好馬、脩之並奪取之。高祖討司馬休之、以為諮議參軍、冠軍將軍、領南郡相。


盧循の京邑に逼りたるに、脩之は服し未だ除かれざるも、起ちて輔國將軍と為り、尋いで宣城內史を加えられ、姑孰に戍す。循が黨の阮賜に攻めらるる所と為り、擊ちて之を破る。循の走るに、劉毅は姑孰に還じ、脩之は毅の後軍司馬を領し、吏僮の長置せるに坐し、將軍、內史官を免ぜらる。毅の西の江陵に鎮ぜるに、以て衞軍司馬、輔國將軍、南郡太守と為る。脩之は毅が將佐に為りたると雖も、而して深く自ら高祖と結ぶ。高祖の毅を討てるに、先に王鎮惡を遣りて江陵を襲わしむらば、脩之と諮議參軍の任集之らは並べて力戰せるも、高祖は之を宥す。時に朱齡石の伐蜀に遣らんとせるに、脩之は固く行を求めど、高祖は脩之の蜀に至れるに必ずや多きを誅殘せる所なるを慮れ、土人の既にして毛氏と嫌有り、亦た當に死を以て自固せんとせば、故に許さず。都に還じ、黃門侍郎に除せられ、復た右衞將軍と為る。脩之は鬼神を信じず、至る所にて必ず房廟を焚除す。時に蔣山の廟中に佳牛好馬有らば、脩之は並び之を奪取す。高祖の司馬休之を討てるに、以て諮議參軍、冠軍將軍と為し、南郡相を領す。


(宋書48-16_肆虐)




あ、うん、待ってね?


様々な来歴その他については、なるほどなるほどって頷くんですけど、何しれっと「俺は先祖代々の霊を信じない」とか言って「他人の先祖の廟を」燃やしてんの? 取り壊してんの? いやそれおかしくない? というかこの流れでその話ねじ込んでくる意味ある? 正直その手の話って我らが北府の将軍さまがた、沢山持ってそうですけど?


何だろうなぁ、毛脩之って刺史の家柄で、それなりの人脈もあった気がするんですよね。それでなんとなく警戒されてて、挙句の果てには北魏で大活躍ってんだから、まぁ宋書がよく書いてやる義理もない人物ではある。うまくそう言う色眼鏡外さないといけないんだけど、一方では沈約しんやくが掛けてた色眼鏡の色をできるだけ正確に把握しなきゃまずいところもあったりで。


「素直に記述を受け容れる」自分と「沈約フィルタを疑う自分」をほんに厳密に管理しなきゃいけませんですね。

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