宋書列伝

巻46 疑惑のトップ集団

趙倫之1 生母の弟    

趙倫之

 既出:劉裕65、劉裕78、徐羨之4

    沈田子2



趙倫之、字は幼成ようせい

下邳かひどう県のひとだ。

劉裕りゅうゆうを生んだその日に亡くなった、

趙安宗ちょうあんそうの弟である。


小さな頃に父を失い、

貧乏ぐらしをしていたが、

母親に孝行を尽くしているということで

周囲の人に評判だった。


劉裕が決起すると、そこで軍功を挙げ

閬中ちょちゅう県の五等侯に。

「それからいろいろあって」

雍州ようしゅう刺史にまでなった。


このときの配下に、

傅弘之ふこうし沈田子しんでんしがいた。

彼らが武関ぶかんを経て長安ちょうあんの南に入り、

いちど姚泓ようおう軍を大敗させたのは、

すでに見たとおりだ。


劉裕が即位すると、

その覇業をよく助けたということで、

霄城れきじょう県侯に進爵。

安北あんほく將軍として、襄陽じょうようを守ることに。


劉義符りゅうぎふが即位したところで

一度建康けんこうに戻り、城内警備の任についた。


426年には鎮軍ちんぐん將軍に。

また、左光祿大夫ひだりこうろくたいふ領軍りょうぐん將軍となる。

ラストの官位には、

やや隠居官位の気配が漂う。




趙倫之,字幼成,下邳僮人也。孝穆皇后之弟。幼孤貧,事母以孝稱。武帝起兵,以軍功封閬中縣五等侯,累遷雍州刺史。武帝北伐,倫之遣順陽太守傅弘之、扶風太守沈田子出嶢柳,大破姚泓於藍田。及武帝受命,以佐命功,封霄城縣侯,安北將軍,鎮襄陽。少帝即位,徵拜護軍。元嘉三年,拜鎮軍將軍,尋遷左光祿大夫,領軍將軍。


趙倫之は字を幼成、下邳の僮の人なり。孝穆皇后の弟なり。幼くして孤となり貧しかれど、母に事うるに孝を以ちたるを稱えらる。武帝の起兵せるに、軍功を以て閬中縣五等侯に封ぜられ、雍州刺史に累遷す。武帝の北伐せるに、倫之は順陽太守の傅弘之、扶風太守の沈田子を遣りて嶢柳に出ださしめ、姚泓を藍田にて大破す。武帝の受命せるに及び、佐命の功を以て、霄城縣侯に封ぜられ、安北將軍となり、襄陽に鎮ず。少帝の即位せるに、徵ぜられ護軍を拜す。元嘉三年,鎮軍將軍を拜し、尋いで左光祿大夫、領軍將軍に遷る。

(宋書46-1_為人)




んー、将軍号ランキング

載せておきましょうか。


一品

00:大尉、大司馬、大将軍


二品

01:特進

02:驃騎

03:車騎

04:衛


三品

05:征東 征南 征西 征北

06:鎮東 鎮南 鎮西 鎮北

07:中軍

08:鎮軍

09:撫軍

10:安東 安南 安西 安北

11:平東 平南 平西 平北

12:左 右 前 後

13:征虜

14:冠軍

15:輔國

16:龍驤


四品

17:東・南・西・北中郎將

18:建威 振威 奮威 揚威 廣威

19:建武 振武 奮武 揚武 廣武


五品

鷹揚 折沖 輕車 揚烈

甯遠 伏波 淩江


八品(雑号将軍)

宣威 明威 驤威 厲威 威厲 威寇

威虜 威戎 威武 武烈 武毅 武奮

綏遠 綏邊 綏戎 討寇 討虜 討難

討夷 蕩寇 蕩虜 蕩難 蕩逆 殄寇

殄虜 殄難 掃夷 掃寇 掃虜 掃難

掃逆 厲武 厲鋒 虎威 虎牙 廣野

橫野 偏  裨



途中に出てくる領軍、護軍は

いわゆる内号。建康城内とか、

皇帝の周辺を守る軍を預かります。


で、この通り、なんの具体的武勲も

書かれてないこのひとが、

安北とか鎮軍だとか、めっちゃ重い

将軍位を得ているわけです。


史書の欠落として

見るべきかとは思いますけどね。

何せこの46巻、「到彦之とうげんし」伝が

まるまる欠落しているんですよ。

ここでは南史で補いますが。


まぁ、別に縁故人事だ! って

ゲラゲラ笑うだけでも

いい気はしますけど。

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