第15話 圧迫面接(コボルト視点)

 此処は荒野の真っ只中、群れの中での扱いに嫌気が差し、志を共にする同士を連れて着の身着のまま荒野で徘徊する事3日、鼻のきく同胞が水の匂いを嗅ぎ付け、たどり着いた先にその地はあった。

 近づくにつれ、焼ける様な暑さも弱まり空気に水気を感じる、赤茶けた荒野の地に一点緑色の台地が広がりその先に別世界の様な泉が有った。

 あえて言えば『異常』死の荒野と言われる台地にて何かの罠を匂わす『危険』だがしかし極限に晒された弱者たる我らにとっては・・・

 堪える事の出来ぬ『甘い罠』一人、一人と飛び付くが如くまるで-闇夜の焚き火に飛び込む羽虫の様-に我らは泉へ誘われた。

    結果、罠であった。

 皆で水を飲み口内を潤し人心地着いた時にその人間は現れた、巨大で凶悪なゴーレムを連れて、衝撃的過ぎて気が動転しパニックを起こしながら対応していたのであまり覚えていないが後で仲間と会合し情報整理すると、つまりはこういった事らしい。

 『この地にダンジョンが出来てその周囲がこうなったと思われる』

 『自分はダンジョンの研究を行う為に此処に居住している』

 『この地に住むなら住居の手伝いはしよう、食材は泉で釣りをするか、ダンジョンの浅い場で小麦や野菜も採集出来るらしい、危険はほどほどに有るが、さほど奥まで行かなければ安全だと思う』

 『必要な物が有れば物々交換に応じよう交換物に依るがふっかけるつもりは無いので良心的に対応しよう』

 『敵対しなければこちらは敵対しない、敵対したら全力で殲滅する』

 その後、彼の人間は4棟の石で出来た小屋を作って元の洞窟に戻って行った、敵対する気はしないけれども、ここが我らが安住できる土地として改めて安堵した。

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