第10話 優衣

「一人でニヤニヤして、気持ち悪いわね」


 はいつものように望月に寄り添って、悪口を言う。


 まあ、いつものようにとは言っても、私がここに来たのは、まだ今日で三日目なのだが…………そんなことはどうでもいい。


 大切なのは、如何にして『望月玲』に、好きになってもらえるかということだ。


 私は『望月玲』に「好き」と言ってもらいたい。「愛している」と言われたい。


 だから、私は今日も、『望月玲』にアタックする。「好きだよ」と、心から大切に思ってもらえる、その日まで…………




 今、気になっているのは、望月がスマホを眺めて、嬉しそうにニヤニヤしている理由だ。


「どうして、ニヤニヤしているのかしら? 気持ち悪いわよ」

「あ、優衣、理由を聞きたいの?」

「別にどうでもいいわよ。どうせ、くだらない理由でしょ?」

「くだらなくなんかないよ! 同じクラスの泉さんに、ライン交換してもらえたんだ!」


 私は、その程度の事でそこまで喜ぶのかと少し、笑いそうになりなる。


 そして、玲の事を可愛いとも思った。


「なあ、お前は、私が好きと思っているわよね?」

「全くもってNO!」


 もう!

 素直じゃないわね!


 望月玲。お前は知らないのだろうけど、お前は私の…………誰よりも大切な人なのよ。


「さあ! 今日も恋人らしいことをするわよ!」


 そう言って私は、望月に抱き着いた。

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