第103話

「姉さん、クロードの定期連絡で聞いたけれど…。大丈夫だった?」


「心配していたのですか?」


「姉さんのことだから心配ないだろうとは思っていたけれど…万が一貴女を失うことになっていたら僕が贄になることを考えていましたよ」



「…姉弟そろって同じこと考えているとは…」


「そうなの姉さん?」


「私は女王ですから」




「この先です、道は凍っていますので足元にご注意ください」


凍り付いた神殿にたどり着くと私は薬を飲んだ



「行きますよ」



暗がりの中私はユノの手を握った

「ここは限られた王族のみが道を知る場所…他の方は大丈夫ですがユノは私の手を離さないでくださいね」



「神殿なのに迷路になっているのか?」



「そうです。元々財宝とかも納めていた場所ですし…何より盗賊に攻め込まれても罠が発動する仕組みになっています」


「今も罠は発動するのか?」



「そうです、はぐれたら死ぬと思ってください」



「マジか」




ユノがちょっと冷や汗をかいて引いているのが分かる



「…こわい?」



「いや。…怖くはないんだが…」



最後の突き当りを曲がると神殿の祭壇にたどり着いた



「ここね」



私は神器の短剣を差し込んだ



「ユノはそっちね」


「お、おう」


ユノは私が指さした方に杖を押し込んだ

「これでいいのか?」


「えぇ…あとは…」



『影の巫女の血を…』

龍達の声が頭に響く


私はもう一本剣を取り出し自分の手を切って祭壇の聖杯にそそぐ

聖杯は光だし外の吹雪がやんだようだ

「…よし」



「お、おい…手が」


「気にしないの。傷はすぐ塞がるし、吹雪はやんだ」


「そうじゃなくて…凍傷になるぞ」


ユノがつけていた手袋を私に渡した



「寒いんじゃないの?」



「今全身薄着のアナに言われたくない」



「あらそう…帰りますかね」




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