第86話
「さて問題は…私の記憶だけど…本当にみるの?」
「ここまで来て何言ってるの?」
「い、いや私はいいんだけど…その痛いよ?たぶん」
「それはアナもだろう?」
「それはそう…なんだけど」
「あぁもう次行くぞ」
そういって私の手を引っ張る感覚によろめいた
仕方ないかぁとため息をついた
私の最初の記憶は痛みだった。
生まれて間もない赤子だというのに、母は早々に乳母に世話を命じ、私の銀色の髪と赤い目を酷く嫌っていた
3人いる兄たちにも母のその態度が伝わり、5歳を迎える頃にはひどいけがを負わされることになる
怪我といっても、骨折は3日で治るし、擦り傷はその日のうちに消えてなくなるので私がいくら訴えたところで誰も相手にしなかった
それどころかひどい暴言も聞いた
「お前なんか母さんの子じゃねえ!!誰の子だよ?愛人?」
「おら何とかいえよ!このバカ女」
兄たちに足蹴にされ小さく悲鳴を上げた
「痛い…痛い…やめて」
「…何をやってるの!!?」
「やべっ本家の奴だ」
アナスタシアがやってくると兄たちが退散していった
「…大丈夫ですか?ティナ?」
「ぐすっ…はい…」
「安心しなさい。私が必ずまた助けるから」
この頃から私はアナスタシアの傍から離れることはなくなった
「お母さん…」
「お母さんなんて呼ばないで汚らわしい!アンタなんか生むんじゃなかったよ」
そういって頬を叩くと気付けば私は呪術に目覚めていた
「わ、私…ちゃんとお母さんの子だよ呪術だって」
ねえ?どうしてこっちを見ないの?ちゃんと見てよ
お願い無視しないで
私が13歳のころ兄弟の誰よりも呪術に目覚めた私を面白くなかった兄弟はアナスタシアを装った手紙を私に送り付けた
「アナ―?話って?」
「話なんかねーよばーか」
兄たちに騙されて突き飛ばされ部屋に閉じ込められた
「えっ!?きゃっ」
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