儀式と過去に向き合うという事

第85話

「アナ!!何処だ?」



「落ち着いてください。私達は手を握ったまま意識は落ちています。」



「これが儀式なのか?」


「えぇ、お互いの意識を同調させ過去を振り返りより強い絆を結ぶことで封印を行う。最初の封印は、姉妹であったのも絆に繋がったのでしょうが…」



いくら絆が強い姉妹であったとしても戦いで疲弊しきった姉妹には力はほとんど発揮されなかったと



それでも数百年は続いた、今完璧に封印しきったら完全に抑え込めるのだとアナは言う




「さて、そろそろ過去へ行きましょう」



「あぁ」



最初に認識したのは、祝福されて生まれてきた赤子の記憶だった




何不自由なく育っていくものだと思われたその記憶に兄との待遇の差が広がっていた



兄は自由奔放なうえに、あの性格だ。とても王になる器じゃないと次男の俺が厳しく指導されていた



友人と呼べる人物はあまりいなかったが、それでも社交界では優遇された

ある社交界での出来事だ。特別に鬼の一族から姉妹が招かれてきた

「こんにちわ。アナスタシアと申します」



「こ、こんにちわ…ティナです」


姉のアナスタシアはしっかり者そうで妹のティナは姉の後ろにくっついていた


「ごめんなさいね。人見知りなの。そちらはユノ様であっていらっしゃるかしら」



「えぇ、僕がユノです」


「お会いできて光栄です。ユノ様。時にユノ様…その作ったような笑顔はやめておいた方がいいわ。貴方らしくない。何故かそう思うのよ」



「僕らしく…ですか?」


「ええ。あの兄ですから厳しい教育をされているのでしょうが少しは肩の力を抜いてくださいまし…」



「アナスタシア様陛下がお呼びですわ」


「あら、そう…貴方の父上と話している間ティナを見ててくださる?可愛い子なのだけれど体が弱くて」



「あ、あぁ」

そういうと彼女は妹を置いて父上のもとへ行ってしまった

姉がいなくなると露骨に怖がる彼女に僕は言い聞かせた


「…大丈夫。怖がらないで。僕は何もしないから」


そういうと彼女は少しほっとしたような顔をしていた





「ちょっと待て、俺はお前とアナに会ったことあるのか?」



「この記憶を見ればそうだね。私も忘れていたのだけれど、忘れている記憶も呼び起こすみたいね…」



「うわぁ、アナに恥ずかしい記憶みられたぁ」


「恥ずかしいのかしら?これ…私も同じようにみられるんだけど…それにそろそろ記憶が途切れるわ」


彼女の言う通り、記憶は途絶えた


「どうやら運命を変えた出来事みたいな記憶を見るのが目的みたいね」



「運命を変えた出来事…かそれはお前の姉の言葉か?」


「それもあるだろうけど。私達が出会ったことも関係するんじゃない?」



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