誘拐と女王の演算

第66話

その日の昼、アナスタシアが居なくなったとミモザから報告を受けた俺はすぐイアンとクロードを呼んだ


「居なくなったって、どこかに出ているのでは?」



「ですが、姫様に限って散らかしたまま出かけていきませんよ」



「クロード、アナの居場所わかるか?」



「い、いえ。指笛にも反応ありませんし。無事なのだけは確かです」



「どうしてわかる?」



「我々鬼は血の匂いに敏感なのです。いなくなって間もないならまだ近くにいらっしゃるかと。反応がないのは気絶してるかと思われます」



「姫様が悪意に気づく間もなく襲われたと見て間違いないかと」



そうクロードは推測する



「でしたらアナ様を襲った犯人を考えましよう」



「まず、犯人が鬼側の者だった場合、傷を作ることはしないでしょう、傷を作らず毒を使う可能性があります。不幸中の幸いは彼女が毒に慣れていらっしゃいますので毒で死ぬ可能性は低い」


「人間側だった場合…アナ様の場合。ほとんど情報がないこちら側としては傷や拷問もあるかと思われますが…ケガしている可能性は少なくともないのでしょう?」



「えぇ。血の匂いもそうですが私は血の契約もしており傷による痛みで助けを呼ぶ可能性もあります」



「で、犯人の割り出しはできそうか?」


「最も怪しいのはレオン様ですが…」



「俺がどうかしたか?」



「…っ!?」



「ん?なんだ鬼を見るような目は?まぁいい。お前の言ってた主犯が動き出したぞアナスタシア…っていねえのか?」

「レオン…じゃない…?」


「レオン様…姫様が連れ攫われました」



「は?クロード、何やってたんだ?それでもあいつの犬か!?」



「…申し訳ございません」



「馬鹿女め、俺に殺される前に殺されたら本当に許さねえからな」




「お前、さっき主犯がどうのって言ってたな」



「あぁ、アナスタシアに頼まれて調べてた、うちの部下が怪しい動きをしている奴らを見つけたと報告を受けた」



「…場所は?」



「南東の森だ」



そこは吸血鬼が隠れ住んでいるといわれていたあの館だった



「…最悪だな」


「一度彼女は攫われている。今度も不意打ちで攫われたとしたらあの時の恐怖で動けないかもしれない」


「…そうか?一度の失敗くらいで恐怖を植え付けられるようなら女王にはなっていない二度目には対策してそうな女王だろ?そうだろうクロード?」



「確かに、レオン様のおっしゃる通りです少しこの部屋を調べましょう。演算したノートぐらい残っているはず」








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