第41話
「…思ったより進行が速いな」
私は、紙に図式と演算を書き出しながらこの後のプランを練っていた
正直、この国へソマリが来ることは予想はしていた
でも、任務が終わるその日にここへ直行することは想定外だった
「アナ…入るぞ?」
「…敵対したまま、このまま進めるのはまずいかしら…」
「…おい、アナっ」
「どうにか彼をこちら側に…」
「ティナ!!!」
「ってわわっ」
驚いた私は椅子から落ちてしまった
「大丈夫か?」
「ユノか…」
「ノックはしたぞ」
「えぇ…てっきりクロードだと思ってたからそのまま続けてたわ」
「お前、いつもアイツにそんな態度とっているのか?」
「使用人ごときに集中力を欠く必要はないってクロードに言われたからよ。」
「そうなんだ。で?今演算してるのってレオンってやつの事か?」
「よく分かったわね、クロードに聞いたの?」
「あぁ、予定になかった訪問だったと。演算って未来予測でもしているのか?アナは」
「未来予測っていうわけじゃない。どの人員がどのように動くが予想して何パターンかの想定しているだけよ」
「それは何時もしているのか?」
「そうね、一人の時は特に。一人になれないときは会議中にずっと考えているわ」
「それって疲れないか?」
「氷の女王には味方はいないから仕方ないの」
「なあ、そうやって無理をするためにこの薬使っているのか?」
「…そうよ。私ではとても彼女のようになれないのだから」
「それって当たり前だよな。アナスタシアがどんなにすごかろうとアナはアナでティナはティナなんじゃないの?」
「そんなこと言ってくれるのは貴方だけよ」
「クロードってやつもそう思っているはずだ」
「どうかしらね。元々血の契約で無理やり従わせてるだけだし、少なくとも私のことは恨んでいるはず」
「血の契約…ってなんだ」
しまった…という顔をするが…彼には嘘をつきたくなかった
「血の契約っていうのは従わせたい相手に自分の血を与えて行動を縛る最低の契約の事よ」
「それってクロードもアナにやることはできるのか?」
「契約できるのは自分より下位の鬼族だけ。クロードは私の下位に当たるからできたの」
「だったら反抗的な勢力を従わせられるんじゃないのか?」
「必要な量があってね。全員従わせることはできないの。その契約をしているのは3人よ」
「3人…?」
「クロードとレオンともう一人は…ザク」
「なっ…ザクは人間だっただろう!?血の契約はできないはずだろう」
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