プロローグ2

ここは人間が治めている国の一つサウスハイランド


「陛下、今しがた氷の国から連絡が入りました。女王が大けがを負われて意識不明だそうです」


氷の国、人間とは異なる種族で額に角が生えている一族、鬼の地位が上になるほど角を隠すことのできる

その女王との婚約を先日交わしたばかりである


「…ふむ、予想が当たらなければよかったがあの小娘の予想通りになってしまったか。」


こうなることは女王アナスタシア自身が予想していた


「それともう一つ、例の組織が山奥で活動しているとの報告があります。いかがなされますか?」



「ユノとその親衛隊に向かわせる。可能であれば殲滅させよ。もし人間が居れば保護して連れてくるように」



「承知いたしました」



「なぁイアン、この命令って父上の命令なんだよな?」



「えぇそうです。王子」



「俺の婚約者が襲われたって聞かされてこの討伐はどうなの?」


「何か考えあっての事でしょう」


「先方との婚約が無くなって暇だと思われてんじゃね」


「そ、そんなことないと思いますよ!!」


「そうか?女にだらしない兄には縁談をもってこないで俺には婚約とか」


「陛下はユノ王子に期待されているんですよ!」



「お二方そろそろ例の館の近くです」

親衛隊の一人が声をかけた


「えっもう?」



「離れからの出立でしたしここから王宮までは半日かかりますよ」




「それじゃあ、さっさと片付けて帰ろう」


 

そういうとさっきまでの余裕の顔は消え、鬼をまとったような顔で屋敷に突入した




「あらかた片付いたかな?」


主力部分は制圧した後は奥のカギがかかった部屋だけだった



「どうしますか?」


ここまで人間でも鬼でもないものしか出てきていない


この状況で無事な人間がいる可能性は極めで低い

「そうだな、行くだけ行くか」



そういって親衛隊は扉の前に爆弾を仕掛け、合図で起爆した




土煙が漂う中そこにいたのは



「!?」


ベッドにへたり込んでいる銀髪の赤い目をした少女だった




「…俺たちの言葉わかるか?」


少女は頷いた


「喉乾いた」


その一言を聞いて少女から離れた

「…っ!?」


「お兄さんたち誰か水持ってない?」



「へ?」



これが女王アナスタシアとユノの最初の出会いだった

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