光と影の祈り

黒瀬アリス

序章 二人の出会い

プロローグ1

ここは鬼が治める国ノース・ハイランド。一年中雲が空を覆い隠し雪を降らせる豪雪地帯で太陽が姿を見せることはほぼない


それゆえに険しい雪道に門があるので人間が足を踏み入れることはほとんどない


「我々鬼の一族と人間との同盟関係を結ぶ…内容は政略結婚よ」



簾の奥にいる女王がそう述べるとその場にいた全員が凍り付いた


「お待ちください!!我が国が長年続けてきた鎖国政策を崩すおつもりか!!!?」


そう言ってきたのは法務大臣この中で一番の古株だ

「ほう?この私に口答えするのか?」



「め、滅相もございません!!ですが人との交わりは純粋な鬼の血筋を薄めるきっかけになる」


「その差別意識が間違ってると思わない?」




「ですが!!」


「二度は言わない。処分されたくなければ口答えするな」








「お疲れ様です姫様」



「ええ、頭の固い老人の相手は疲れたわ。」


「本音が出てますよ。誰がきいてるかわかりませんので」



「他に誰もいないでしょ?」

「そういった油断が命取りになるのですよ」


「はいはい、わかったから」

「これからどうしますか?」



「先方との約束は取り付けたのにこっちの意見を通すのは骨がいりそうね。」

今の国王の息子の第二王子にその婚約の話を持ち掛けた

何故第二王子なのかは国王も教えなかったが第一王子に問題があるとの噂もあるからそのせいだろう



「いっそのこと亡命した方がいいかしらね」


少女が冗談っぽく笑うと燕尾服を着た青年はいたって真面目に答えた



「亡命に失敗して殺されてしまえばこの国の未来は終わるそれは貴女がよくご存じでしょう」


そうあの秘密は、女王になる人物と一部の影と呼ばれる部隊しか知りえないことだ


「そうなれば今度こそ俺は貴女を一生許しません」





そして一番の敵はこの男だということを私は忘れていない




それだけは気を付けていたはずなのに心のどこかで油断していたのだろう



「アナスタシア様、影より呼び出しです」

新顔ねと少し笑うとクロードに視線を戻すとその笑みも消えた






「えぇ、ではクロード後任せましたよ」

「承知いたしました」








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