第66回『橋』:虹の橋を渡ろう<タブレットマギウス>

 企画書のタイトルだけで血の気が引いた。


 *


 ――虹ってのは光でプリズムで角度が大事で。

「魔術師でしょ」

 ――横からも見えるように?

「渡ってるとこ見たいでしょ」

 ――橋を作って虹色に塗れ。

「虹色じゃなくて虹の橋」

 よろしくとか企画屋は本当に簡単に言う。


 *


 耐荷重は子供限定30キロ。

「本人は」

 ネックタグで位置測定。微細な光源とプリズムで。

「見る側は」

 グラスに仕込む。グラス貸し出し、写真有料で収益UPだ。

「電力とMANAは」

 一組一〇分貸し切り限定。総量は計算して。


 緻密計算と微細制御。夜を溶かして生んだ時間で、プロジェクトは完成する。


 *


 『虹の橋を渡ろう』


 *


 彼岸への橋が架かりかけた。生き死体達は溶けた頭で幻視する。

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