第65回『鍵』:絶対安全魔術錠<タブレットマギウス>

 ストーカーに空き巣に痴漢。No.1の君の周りには危険がいっぱい。

「ピッキングできないなんてすごぉい!」

 部屋の周囲にも膜状魔術を展開して。

「見えないのにぷよぷよするぅ!」

 消費電力は芳香剤くらいかな。

「入るときはー?」

 魔術錠で膜も消える。中にいるならこのボタンを押せば良い。

「まぢゅつしさん大好き。サービス」

 ちゅ。


 頬で唇を思い出したら北風だって寒くはない。

 彼女とおそろいのマフラーなら静電気だって痛くない。

 スマホが鳴る。彼女の名前。スリーコールで通話ON。

『鍵、開かない! どうやってもうちに入れない!!』

「え?」

 痛っ。走った火花に思わず手を引き、血が引いていく音を聞く。

 SIM内蔵の鍵はもちろん電子機器。

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