第62回『余り』:ありあまる手つかずの<タブレットマギウス>

 立ち入り禁止の果てなき荒野を彼は資源と言い切った。

「ケイ素に炭素に窒素にミネラル、有り余る熱に空間。そしてMANA」

 持ち込んだ太陽光発電パネルと蓄電池に有難いと目を細める。残されたコンピュータに助かりますと頬を緩める。

「違うアプローチを試せます」

 少しずつ地雷は処理され使える土地は広がっている。

 地を焼き尽くす太陽光は使える力に変換できる。

 作った電気のごく一部と金で換えられる知の力で。

「魔術師を公募します。マスコミで宣伝を」

 必要なのは世界の関心。言い切る彼は軽やかに笑う。

「資源を生かす電書魔術を作るんです」


 *


 使い処なく余っているのは彼の天然物の才だと。

 運命づけられた凡人はそう思わずにはいられない。

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