第60回『祝』:朝の祝典〈タブレットマギウス〉

 タブレットがわずかに鳴動する。EPUGが見えない光に輝き出すと子供の天使が現れる。天使はラッパを鳴らし足並み揃え『祝典行進曲』を賑やかに奏で始める。

 天使は夜夢に遊ぶ主人のまわりを行進する。頭の上を通り過ぎ、首の上へとよじ登り、顔の上を横断し。まつげに躓き、癖毛に絡まり、ラッパを鳴らし、シンバルを叩く。

 うめいた主人は寝返りを打つ。片手で布団を引き寄せる。

 天使は行進し続ける。祝典で平和を祈り、繁栄を願う。

 主人はおもむろに手を伸ばす。タブレットを叩き止める。

 行進曲は唐突に消える。天使は解け去り、名残の羽根が頬で消える。

 祝典は終わる。主人は寝息を立て続ける。

 朝という祝福の時が過ぎたと気づくまで、あと、

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