第57回『演じる』:演技と罪と<科楽倶楽部(移民船世界観)>
重厚な音色と共に進める歩みは身代わりだとか演じるだとか言っていられるものでは正直なかった。
いくら父さん作で足にぴったりのパンプスでも重心移動は無理難題に等しいし、姉が『なさ過ぎ』たのが幸いしたか見事に収まってしまったウェディングドレスは枷のようで。僕は罪名を内に秘めたまま父さんに護送されている。
神父の前まで辿り着く。タキシードに筋肉をようやく押し込めた無骨な面が初対面の花嫁を見上げて微笑む。
あぁ。罪の意識が深まっていく。
本物は逃亡中だし、確かな職人は身を任せたいと願うほど。
誓いをと促されて身を屈めればベールが上げられ。
「跡継ぎなんてどうにでもなる。身代わりが嫌じゃないなら」
いたずら顔で囁かれ。
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