対決? 愚か者め2

 視線をテーブルに戻すと透き通った金色のスープが置かれてあった。


「これ順番ってあるの?」


 微妙に菜緒に体を向けて、テーブルの上に置いてあるフォーク類をツンツンと指差しながら小声で聞くエマ。


「初めは一番右側のスプーンから使って。あとは順番に外側から料理に合わせて使うこと」

「おーーなるほど! で、これは?」


 脇に寄せていたナプキンを指差す

「広げて足に乗せるか、襟元……は無理か。菜奈を見て」菜奈に目配せをした


 菜奈はチョー澄まし顔で背筋を背もたれに着けずに伸ばし、大人しく座っていた。足を見るとナプキンが広げて置いてあった。


「なるほど……」


 菜奈の真似をしてナプキンを足の上に敷く。


「お姉様」


 小声でランに呼ばれた。


「作法とかは気になさらずに楽しく頂きましょう!」


 いきなり励まされた。


 ランを見ると菜奈と同じで背筋を伸ばしチョー澄まし顔のお嬢様風の笑みを浮かべていた。隣に視線を移すとソニアまで。


 君達だけは心の友だと思ってたのに……


 まあ普段からアルに頼りきりの私が悪いのは明らかだし、それは間違いない。

 ここは素直に自己嫌悪に陥っとこう。


「エマちゃん」


 今度は菜奈に呼ばれたので見ると、手は下げたままエマにだけ見えるように、力強く親指立ててグーをして見せた。


 菜奈ちゃん、それじゃフォローになってないよ。


 さらに視界の片隅にいた執事も前を見据え腕を動かさずに、私に向けて菜奈と同じように親指立ててグーをして見せていた。さらに壁際で待機している給仕達まで……



 あんた達、本当にAIが動かしてるのかい?ホントはバイオロイドなんかじゃなくて人間なんでしょ?



 その後、なんとか音も立てずに無難に最後のデザートまで漕ぎ着けた。

 メイン料理に関してはやはり手作りと言うだけあってとても美味しかった。


 と、ここで執事さんが扉から出て行く、が一分も経たずにマキを引き連れて戻ってきた。


「お待っと〜さん! いや〜ごっつうええ匂いさせとるではあ〜りませんか!」


 余程お腹を空かせていたのだろう、お腹をさすりながらこちらへとフラフラと近づいてきた。


「お疲れ様でした。その後はどう?」


 優しく聞く菜緒。


「おう! 話の前に何か食わせてーな!」

「どうぞこちらへ」


 とマキの後ろから、もう一つの円卓へ案内しようと声を掛けた。


「なんや、ウチだけ退けもんは嫌やわ!ウチもこっちがええ!」


 マキの我がままに対して、執事さんが皆に目配せをし最後に菜緒で視線を止めた。


「構わない?」


 確認を取る菜緒。


「皆様が宜しければ」

「ではお願い」

「かしこまりました」


 とのやり取りの後にマキを見ると、既に隣の円卓から自ら椅子を持ってきてランとソニアの間に割込み座ろうとしている最中であった。


「ハイハイ二人ともちぃとだけ詰めてくれんか〜」


 どうやらマキは遠慮と言う言葉を知らないようだ。


「あらあら〜」「はいなの〜」


 笑顔で応じる二人。


 テーブルの上にはグラスと空き皿しか残っておらず、その空き皿も給仕さん達に素早く片付けられたので移動は問題なく済んだ。


「お飲み物は何に致しましょうか?」


 脇から澄まし顔で聞く執事さん。


「極上のギンギンに冷えた水、バケツ一杯頼む!」

「かしこまりました」笑顔で答えた

「ところで料理は何なのや?」


 正面に座っているエマに聞いてきた。


「コース料理、かな?」

「なんや「かな?」って」

「フレンチ料理ですね」


 代わりにランが答えてくれた。


「何やよう分からんが旨いなら何でもええ!早よう頼むわ」

「かしこまりました」


 またまた笑顔で返事を返す。


「あっ、あとウチはフォークやらナイフは苦手なんや。だからスマンが箸持ってきてくれへんか?」

「お箸……ですか?」

「そう箸! ……ってもしかしてここには置いて無いんか?」

「い、いえ。勿論ございます」

「なら頼むわ!」

「はい、かしこまりました」


 和かな執事笑顔スマイルで下がっていった。


 そんなマイペースなマキを見てエマは心の中で感動の涙を流していた。


「ところでアリスはどこですか?」


 隣のランが聞いてきた。


「付き添ってる」


 給仕さんが水が入ったグラスを置くのを眺めながら答える。


「容態は? 効果あった?」


 菜緒がテーブルに頬杖をつきながら聞いてきた。


 マキはその質問に水を一気飲みしてから答える。


「行った時は部屋ん中でぶっ倒れててな。何とか意識だけはあったけどまともに話も出来へん状態でかなり焦ったわ。でもノアが送ってくれたデータで速攻宇宙服改造して着せてやったらやっと落ち着きよった」

「いったい何が起きたの?」

「それが分からへんのや。全身汗だくで熱も40度以上。しかも宇宙服の体温調整機能はフル稼働状態で、や。それやのにときた」

「つまり数値上は正常ってこと?」

「そう。見た目、最悪なのに血液の値は正常。ケッタイな話しやろ?ただ間違いなくのだけは間違いなさそうやな」

「変化?どんな?」

「……それは分からへん。ただ一つだけ間違いなく言えるのはクレアもそうやと思うけど、本人が落ち着くまで宇宙服は絶対に脱がさん方がええっちゅうことやな」

「宇宙服が原因、って訳ではないよね」

「いや、宇宙服のお蔭でクレアは気持ちよさそに寝れてると思う。その証拠に向こうも今はそこのクレアと全く同じ顔、しとる。だから結果的にはあん時、渡すの拒否ってくれて正解やったと思うわ」

「二人とも生体強化してるのに一体どうなってるの……」


 考え込む菜緒。


「主任の……せい?」

「せいかどうかは分からないけど原因は間違いなく知ってるはずね」

「どっちにしでも今は……確認のしようが無い」

「でも何でレイアさんまで」

「私達は……大丈夫かな」


 心配そうな顔? の菜奈。


「……分かんない。菜緒姉はどう思う?」

「主任は宇宙服に関しては何も言ってこなかった。それはつまり、私達にとって「知る必要のない、又は知らない方が都合が良い情報」だったという事。それは、もし知らされていたらが変わってしまうという危険性をはらんでいるから。そういう事態だけは避けなければならない、と。主任あの人は悪戯でこんな事はしないし、きっと深い理由がある筈」

「アルも絶対に脱ぐなって言ってた」

「……多分だけどそれはクレアに対して、だと思う」

「ま、脱いでいたとしても直ぐに着れば問題なさそだしね。あまり気にしても仕方ないか」

「もしエマちゃんが苦しんでたら……私が着せてあげるね」

「「あ、ズルイ! それは私!」」


 声を揃えて慌てる二人。


「じゃあ……みんなでね」

「「はい!」」


 三人はお互いにウインクを飛ばしあう。

 脇では口を尖らせてその光景を羨ましそうに眺める菜緒。


「しかしエマや」


 そんな四人を引き気味に見ながらエマに話し掛けてきた。


「?」

「さっきは驚いたで」

「え? ……あーゴメン」

「いや気持ちは分かる。こんな状況で一つでもウソ付かれたらアンタの立場であの対応はしゃーないと思う。でもな、一緒に付いて行ったからよう分かるが、アリスは結構レイアの事、心配しとったし、色んな事情抜きにしてアイツの事、何とかしてやりたいってのはヒシヒシと伝わってきた」

「…………」

「それにウソがバレた時、何度もしっかりと謝ってたやろ?」

「……うん」

「そやから……うまく言えんがアリスの事、もう許してやってくれんか?」

「…………」

「あいつはなんや隠し事一杯しとる感じやし、それと同じくらい悩み事抱えとる気がする。でもな、そっちを理由にウチらにウソはつかん……と思う。今後は」

「……分かった」

「そうか! だからもう少しだけアリスを信じてやってくれ!頼むわ!」

「うん」

「そうか! あんがとさん! この場はアリスに変わってウチが謝っとく! スマンかった! 堪忍してな!」

「うん。もういいよ。マキにも迷惑かけたね」

「それはお互い様や! 気にするほどの事じゃない! アリスもエマも、みんな仲間やしな!」


 とここで料理が運ばれてきた。しかも一気に全品。


「ひぁ~~美味そうや!」

「ゆっくり食べて下さいね」

「そうか? お! ケーキあるやんけ! これランにやるわ!」

「え? いいんですか?」

「おう! ソニアは欲しいもんあるか?」

「お肉がいい……なの」

「おう! ちびっ子は遠慮せず好きなの持ってけ!」

「マキ、無くなっちゃうよ?」

「大丈夫やろ? な?」


 ニヤケながら執事さんを横目で見る。


「これは……参りました。少々お待ち下さい」


 と言って執事さんが給仕さんに目配せをすると、一人の給仕さんが部屋から出て行く。

 そして5分程でカートを押して戻ってきた。


「貴方様にはこちらを」


 マキの前に見事な金細工が施された御重箱が置かれる。

 そこに目を向けるて給仕さんが僅かに焦らす素振りをした後に蓋を開けると、湯気と共に香ばしい香りが辺りに充満していく。


「も、もしや……」

「はい、天然の鰻でございます」

「ままままマジっすか⁈」

「はい、マジっす」

「天然物……まだ生き残ってたんか」

「はい。因みに鰻は地球の大陸の東に位置する島のジョウソウと呼ばれている地方から取り寄せた逸品でございます。白米も特A級の更に上、UR級を御用意させて頂きました」

「ええのか? こんな滅多に手に入らんもんばかり。あんたら怒られへんの?」

「主の許可は得ております。これらは我々にとってお礼の意味も含まれております」

「主? お礼? 何のこっちゃ?」

「フフフ、それと皆様、今日は是非ここにお泊まり下さい。基地の客室よりは多少は寛げるかと。主に成り代わり最大級のおもてなしをさせて下さい」

「せやから主って誰やねん?」

「フフフ」

「? ……ふふふ」

「…………」

「…………」

「何張り合ってるの? 早く食べないと折角の逸品? が冷めちゃうんじゃない?」

「え? い、いやつい癖でな〜」


「でどうする? 菜緒姉」

「なかなか計画通りに行かないものね」

「それは毎度のこと。Cエリア基地

 菜緒姉達の時なんか、初めは入るつもりなかったんだから」

「そうなの⁈」

「そう。理由は今だから良く分かるけど、サラはあの時かなり嫌がってたね」

「ははは……」

「しかもあたしゃあの時は口から火吹いちまっただよ」

「火?」

「アルの中でサラが寿司食べてて美味しそうだったからつまみ食いしたらシャリの中が山葵だらけでね〜死ぬかと思ったわ」

「何それ⁉︎」

「その時「まだまだ」とかニヤケながらドヤ顔してたんよ?」

「そ、そうなの?」

「うん!」


「エマ姉様」


 突然ソニアから声が掛かる。


「はいは〜い」

「あれはサラ主任の訓練の一環なの!」

「訓練? 何の?」

「父との勝負、なの!」

「勝負? あ……出発の時の別れ際に言ってた「決着」がどうのこうのってやつ?」


「ハイなの! 制限時間内激辛早食い対決! なの〜」


「……はいぃ〜〜?」


「今までの対戦成績は共に9勝9敗のイーブンで先に10敗した方が何でも一つ、勝者の言う事に従うっていう、お互いの魂と魂のぶつかり合い、世紀の真剣勝負ガチバトルを繰り広げている最中なの!」


 握り拳を作り熱く語り出すソニア。


「……」口をあんぐりと開けるエマ

「あのハンク主任が⁇そんな事を⁉︎」菜緒が驚く


「ハイなの! 父も次で長年の決着ケリが付く! ってとっても楽しみに日頃から鍛錬をこと欠かさずに励んでいるなの!」


「なんやおもろそうな話しやな」


 マキが鰻重を口にかっ込みながらこちらを見て言った。


「何でもいう事を聞く……これは使えるかも⁉︎」


 小声でブツブツと呟くラン。


「…………」


 菜奈は興味が無さそうで眠たそうな顔をしていた。


「因みにサラ主任は、昔はネタの下は山葵だけだったけど「食感が足りん!」って。途中からなの、あんな風に変えたの。それから主任が個人的に食べる物には全て外見上は凝らすように変わったから、知らずに下手に手を出したら命がとっても危険なのね」


「あたしゃ死ぬ可能性があったってことかい⁇ もー知ってるならあの時教えてくれれば良かったのにーー」


 ブーたれてしまった。


「あの位なら死ぬことは無いなの。それより身をもって経験しとけば無意識下でも身体が勝手に警戒して本能的に避けられる様になるなの」


 満面の笑みで御指南してくれた。


「そ、それはご親切に……はーーしかしサラったらなんか色々と人生満喫してるって感じだわさ」


 投げやりに言うエマ。

 サラの新たな一面が発覚して「どうでもいい」ってな感じになっていた。


「でどないする? 泊まるんか?」


 口をモグモグさせながら上目遣いに聞いてきた。


「全員異論が無ければ」


 菜緒が諦めた様に言った。


「飯もごっつ美味いし決まりやな!」


 マキがニヤリと笑みを浮かべながら執事さんを見ると、執事さんも笑顔を返して頭を下げ、部屋から出て行った。


 マキが食事後の緑茶を飲み終え皆で談笑していると執事さんが現れ、2階の客室に案内するという事で全員食堂から出てロビー前までやって来た。

 そして緩やかで段数がやけに多い階段を上りきると、そこも一階同様、相変わらず暗かった。


 広さは1階のロビーと同じ程度の空間となっており中央には向かい合った2人掛けのソファーとテーブル。

 その先奥の壁に一つ、左右の壁に両開きの扉が1つずつ。

 さらに後方には階段の上部に沿う形で設置されている通路の壁に1つずつ。

 最後にその通路が階段上で合流し、その位置に扉が一つ、計六つの扉があった。


 2階部分の通路は階段を囲んだ口型となっていた。


「正面の扉だけ凄い豪華な造りとなっていません?」

「そうね」

「そちらは主の部屋となっております」


「「「「へ~~」」」」


 皆から感嘆の声が上がるがエマはこの扉を見てバンケットルーム同様、変わった妄想に取り憑かれ引いてしまう。


 ……この扉は異界への入口だ、と。

 入ったら最後、内側からは開けられない仕組みになっているに違いない、と。


 うん、近寄るのは止めとこうっと!


 ガチャガチャ


 音で我に返る。

 どうやらソニアが扉を開けようとチャレンジしていたようだが、ロックが掛かっているようで開く気配はしなかった。


「その扉は主にしか開けられませんので悪しからず」


「ちっ」


 舌打ちするソニア。


 おいおい「ちっ」て……


 執事さんはそのまま今度は右側の階段上に当たる部屋へと案内してくれた。


 扉を開け中に入ると、正面には外の景色が一望出来るほどの大きな窓が数多く設置されていて、その窓の下には横並びでキングサイズよりさらに一回り程大きいベッドが計七台、等間隔にて並べられてあった。


 そのベッドも寝具に至るまで一目で最高級品と分かるほどの豪華さ。


 アンティークには少し詳しいエマでも値段が想像できない程の品だと見ただけで分かった。


 他には手前廊下側の壁際にはソファーとテーブルが談笑用として置いてあるのだが、そちらも座るには尻込みしてしまう程の高級品のようだった。


「こっちの扉の先には何があるなの?」


 入って右奥の壁には片開きの扉が一つ、その前でソニアがエマ達のそばにいる執事さんに向け質問してきた。


「どうぞお開け下さい」


 その場から動かずに返事をする執事さん。


「分かったなの! それなら遠慮しないで開けてみるなの!」


 発言内容とは裏腹に恐る恐る扉を開けそーと覗き込むソニア。だがそのまま頭だけ隙間に入れたまま微動だにしなくなる。


「どうしたの? 何かあるの?」


 今度はランがしゃがみ込んでソニアの下方から同じように頭を差し込む、がこれまた同じ様に動かなくなった。


 頭一つ分開けられた扉の隙間からは明るい光が差し込んでいるので、多分屋外に通じている扉だとは思う。


「なんやどないしたんや?」


 マキが二人にお構い無しに扉を無理やりじ開けた。


「「きゃーーーー」」


 二人は前のめりで扉の先へと倒れ込んでしまった。


 その先は、門から僅かに見えていたあのテラスだったようで、かなりの広さがあるスペースに見事な絵柄が施された豪華そうな陶器製の円卓と椅子が二セット、その周りには綺麗に手入れがなされた花々が植えられてある陶器製プランターが整然と並べられてあった。


 因みに床にも全て同じ長さに切り揃えられ青々とした天然芝が隙間なく敷き詰められてあった。


「この景色は……凄いかも!」


 外に出てクレアのカプセルと横並びでテラスの手摺りそばから外の景色を眺めると、先ほど地面から見ていたものとは全く違う景色が広がっていた。


 手前には花畑。その先には草原や森林。その隙間には湖。

 しかもそれらの光景には地平線は存在しない。


 視線を上にあげればさらに違った風景が延びていた。太陽と雲の隙間には牧場のようなものまで、僅か数mの高さの違いで見えていた景色がガラッと変わっていたのだ。


 今まで地上やら宇宙から見慣れていたものとは真逆の世界。


 感動のあまり思わず背筋に震えが来てしまう。


「こちらもご自由にお使い下さい」


 庭側とは反対側の壁の前に立っていた執事さんが、木製の格子状の扉を中心部分から左右へとスライドさせていくと、中には巨大なジャグジーが設置してあり、そこからは湯気が立ち昇っていた。


「あ、この匂い……さっきのやつ!」

「?」

「この僅かに漂う独特な金属臭……もしかして含鉄泉?」

「流石! 正解でございます!」

「でもなんで無色透明なの? ここに源泉が有るって訳ではないでしょ?」

「それは企業秘密です」

「えーー?」

「というのは冗談です。貴方様のプライベート温泉と原理は同じです。ただ規模はかなり違いますが」

「ということは使い捨て?」

「はい。一度利用した湯は分解処理して他にて再利用をしております」


「な、なんて贅沢な……」


「お姉様、一体何の話をしてるんですか?」

「え? えーとそこのジャグジーは温泉でね。で、そこの湯は「含鉄泉」って言って鉄分が含まれていて、空気中の酸素に触れると湯中に含まれている鉄分が酸化して赤色とか茶色とかに変色しちゃうんよ」

「へ~~でも今は透明ですよね?」

「そう。ということはここまで一切空気に触れずに持ってきて、さらに循環っていうか使い回しは一切してませんよ~ていう証。しかもあの湯量。相当な量がどこかに保管してあるんだわさ!」

「そうなんですか?」

「うん! アルにも当然積んであるけど、一回こっきりで扱いがシビアだからそんなに多用は出来ないところが難点なのよね〜」


「匂いって……菜奈、貴方分かった?」菜緒が小声で聞いた

「全く……してない」軽く首を振る


「ふっ……まだまだ、だな」


 二人にある人物の声と顔真似して見せた。


「あ! 似てるなの!」目を輝かせるソニア

「フッ愚か者め」ソニアにもして見せた

「誰にや?」こういう事には鈍いマキ

「「ひ~み~つ~」」二人揃って笑顔を見せた

「あ~~なんかズルい~~!」抜け駆けされて慌てるラン


「それではご夕食までごゆるりとお過ごし下さい」


 と深々と一礼してからその場から下がって行った。

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