第6話 待機室

 

 宇宙服に着替えるためエリーと共にシャワー併設の更衣室へと歩いて移動しようと、出口となる扉へ向かう。

 任務に当たる際、宇宙服の着用は義務として明文化されているが、着る前にシャワーを浴びなければならないといった決まりはない。

 シャワーはただ単に私達姉妹の習慣。単なる風呂好き。特に私は朝と晩の最低二回は入らないと落ち着かない。

 そんな私達姉妹にとっては欠かせない儀式。任務の前に身を清めるのは一種のげん担ぎな行為。

 普段は慌ただしく行う儀式だが今回はゆとりを持って行える。


 更衣室までは歩いて数分と目と鼻の先。

 普段なら転送装置を使って移動するが今日は時間がたっぷりあるので気分転換も兼ねて、くっちゃべりながらの移動とした。


 今、私達がいる基地ホームの直径は1km。

 結構大きい、と思われるかもしれないがその1kmの中には直径百五十mもある探索艦十八艦が入るドックを始め、基地機能維持に必要な主要設備から人の居住スペース、さらには福利厚生施設用といったモノの全てを詰め込まなければならず、空間的な余裕は無いに等しい。なので関連している主要な施設は移動し易いようにと、苦労の末にコンパクトに集められている。

 ただ瞬時に移動が可能な『有線による物体転送装置』が基地内を網羅しているので、余程のモノ好きか運動目的でない限りはその苦労を知る由もない。


 余談だか基地内の床面には特定の場所を除き1Gが掛けられている。だからこそ私達姉妹は転送装置しか使わない。



 更衣室に到着。入るとまだ誰も来ていなかった。


 この更衣室は探索者専用で男女別となっている。女性用は入口から見て横五m×奥行二十五mくらいの長方形で、入口の左右の壁には転送装置とトイレのスペース。部屋の中央には背もたれの無いソファーが等間隔で並べられている。

 転送装置とトイレがある両脇には仕切りがある各人専用の脱衣ブースが奥へと続き、最奥の壁はドレッサースペースで鏡と椅子が並べて置かれてある。


 脱衣スペースは広々とした専用空間とはいえ入口や隣との仕切りは限定的で、顔と足元には仕切りが無い解放オープンタイプ。分かり易く言えば覗こうと寄れば容易に覗ける仕組み。

 その奥にあるシャワールームは水撥ね防止や温風ブロアーを使うので壁や扉で仕切られている。

 脱衣スペースには上下に細長い棚があり、下段は脱いだ衣類を入れるランドリーボックス。その上の段にはタオル類とこれから着る白色をした宇宙服が別々に置かれてある。


 この宇宙服を着る為にここへと来たが、更衣室を利用せずに自室や探索艦の中で着替えをする者もいる。

 その辺りは責任者であるサラには拘りがなく、何処で着るか、何処で脱ぐかは探索者の自主性任せ。

 どこで着替えるのかを決めるのは探索者。職員は付き合っている暇はない。なのでフォローするのは艦AI相棒


 エリーと共に専用脱衣スペースへ。仕切りの役割を果たしている壁はある程度の高さまでしか無く、隣で着替えているエリーの顔も見える状態。

 脱いだ服をランドリーボックスに入れながら気になることを聞いてみた。


「さっきのどう思う?」

「さっき~? 私の質問~?」

「そう」


 内緒話をするなら脳内通話か『繋がりリンクシステム』を使う。どちらも脳内通信なので聞かれる心配はない。ただ今はここには誰も居らず聞かれる恐れがないので声に出している。


「以前に聞いた話だと~調査開始初期は結構ずさんだったようなのよね~調べ方が~。ただ今とは単純比較は出来ないし~」


 比較が出来ないのは、当時は母星となる太陽系近傍から調査を始めたので当然ながら範囲は狭く、さらに当時の画期的発明である『反重力推進』は出来たテホヤホヤの技術であったので信頼性が低かった。

 その技術を支える為の燃料や鉱物資源も限られており、調査に使える艦の数も少なかった。


 当時の政府は可能な限り早急に調査領域拡大を望んでいた為、「失敗よりも挑戦」の精神で認知範囲の拡大を目指した。

 結果、の確保と、計画通りに『反重力推進技術』が早熟に至った。


 それから十数世紀。今でも「外」である未確認領域への調査は継続されている。だがここ数世紀は「内」である調査終了領域の「再調査」も行われるようになった。

 ただ範囲が広大過ぎて再調査の状況は芳しくなく進捗率はまだ全体の五割程度。

 特に未確認領域に進出し始めた初期は技術的未熟という弱点から多くの「穴」がある可能性が高い。


 それでも総本部が関わっている調査で「見落とし」をそのままにしていたとは考えられない。

 だか敢えて放置していた場合はまた話はややこしくなる。

 因みに総本部とは「探索部」や「調査部」を束ねている政府の組織。


 何かが引っかかる。


「エリ姉、もしかして今回……」


 と言いかけると部屋の扉が開く。会話を一旦止めてエリーと共に入口へと視線を向けると、先程サラを弄って遊んでいたミアとノアだった。

 手を繋いだ彼女らは私達を見付けるとこちらに向け、身体を小刻みに左右に揺らしながらトコトコと近寄って来る。

 ここでエリーが「この話は一旦お終い」と私にウインク合図を送ってくる。


 二人はいつも通りのテンポで来るとエリーの前で立ち止まり、頭を軽く下げてきた。


「「……この前はご馳走さまでした」」


 手を繋いだまま声と頭を揃えてお礼を言ってきた。

 私には何のことだか分からないが、私達よりも小柄で可愛らしい仕草をする二人を見ていると心が和む。


 対するエリーはいつのお礼ことかが分かっているらしく「どういたしまして〜」と笑顔で返している。


「あ、そうだ。昨日ねドリーで美味しいお菓子屋さん見つけたんだよ〜」


 ご馳走様=食べ物と昨日を思い出し、パンッと手を叩いて話題を変える。


「本当~? どこどこ~?」


 エリーがノってくれた


「首都の南地区にある『ポロ』って名の店」

「あっ、聞いたことあるかも~」

「でねエリスと偶然出くわして一緒に買い物したんだけど、そこのチョコがまた格別なんだな」


 とお菓子の話題を持ち出したところ、ミアノアは私のブースの前に横移動し、物欲しそうに目を輝かせ私を見ている。


 なんか……メッチャ可愛い♡


「ちょっとだけだけど……」


 そんな顔されたら御裾分おすそわけしなければ!

 ということで待機時間に食べようと思って、アルに預けずに持っていたお菓子を脱いだ服のポケットから取り出すと、仕切り板越しに三人に手渡す。


「これは……ドライフルーツ〜? ブルーベリー〜かな?」


 自分の手の上に置かれたお菓子を物珍しそうに見る三人。


「そう、ブルーベリー」


 見た目はちょと大きめなドライブルーベリーだ。


「ほれほれ〜早う喰うて見て〜」


 三人同時に口の中へ。



「「「!」」」


 そうでしょ? うんうん分かるよその気持ち。



「……何これ、かも」

「……凄〜くあまい、ね」

「何で酸っぱくないのかしら~。それに何でグミみたいに柔らかいの~?」

「そい思うよね! 私も気になって聞いてみたら普通は酸味を甘味で誤魔化すらしんだけど、適度な熱を加えると酸味の成分が変化して甘く感じられるようになるんだって。そこで一番大変なのが「煮る」「乾燥」の工程で、原型や食感を保ちながら何度も繰り返さな。最後の最後で、相性のいい甘味を加えてから今、食べた形に仕上げるんだって」


 ドヤ顔で自慢げに説明する。


「煮る・乾燥の工程がキモらしいわ」


 もう一言付け加えてから私も一個頬張る。



 うーまーいーぞー! 目と口から光が溢れ出しそうだ。

 そういえばシャワーを浴びるのに、エリーと私は下着姿のままなのを思い出す。


「美味しかった〜」


 とウインクしてエリーが先にシャワールームに入ってゆく。


「「……ごちそうさま」」


 手を繋ぎながら、二人揃って頭を下げて私に軽くお辞儀をして見せる。



 ──ハア~~この二人、可愛い〜すぎ~



 彼女達の名はミアとノア。十八才で身長は共に百五十cmと小柄。普段から今ではあまり見掛けない眼鏡を掛けている。

 ローナと同じく首から下は私達よりもメリハリがある体つきで、リンランの数カ月先輩にあたる。

 この二人はリンラン以上に見分けるのが大変。リンランは性格と髪型の違いから見た目で判別が可能なのだが、この二人は髪型から体型、更には話し方までそっくりで外見で見分けるのは至難。

 但し、一か所だけ違いがある。昨年学校を無事に卒業。研修を経てここに配属。

 そして配属当時から今に至るまで、普段着として着ているのが学生服。薄茶色のブレザーに青系のチェク柄の膝丈スカートと、学生服としては良く見かけるタイプで二人に差は無い。

 ではどこで見分けているのか? それはネクタイの色。姉であるミアが赤色で妹のノアは青色。


 そんな可愛らしい彼女らには立派な副業を持っており、一部の女性には絶大な人気を誇る有名な漫画家、らしい。

 以前、今では滅多に見掛けない紙に描かれた手書きの「原稿」を見せて貰った……のだが、絵は凄く上手くて綺麗なんだけど……私にはどうしても理解出来ないB◯ワールドでした。なので「製品版」は購入していない。

 その時に内緒の話として「探索中にも描いている」と教えてくれた。

 ベタ塗りやトーン貼りは艦AIを利用している、と。

 だから「アシ」と名付けたのかと納得した。


 ただ私も人のことは言えない。艦を採掘ドリル代わりに使ってるし。

 まあそのお陰様で私も貯金は増えました、はい♡


「どういたしまして。それじゃ報告会でね」


 挨拶もそこそこに下着を脱いでシャワールームに入った。



 宇宙服に着替えそのまま待機室へ転送装置を使って移動する。

 ここは探索艦が収まっているそばにある、この基地唯一の待機室。ただそばなのは艦籍番号「1」のローナ艦であって、一番若いワイズ兄弟の艦は基地の裏側にある。

 ここから各ドックに向かうには転送装置を使うか、専用の一本道の通路を使うかのどちらかとなる。


 待機室は古代の軍隊にありがちな堅苦しい感じではなく、空港のVIP用ラウンジ風な作り。

 最大十八名が入っても寛げる優雅な作りで、落ち着きのある暖色系の灯りで統一されている。


 椅子は、カウンター席以外は一部を除き大きめの二人掛け用ソファーで、隣の席とは目線が合わない位置に上手く配置してある。

 フロアー内の観葉植物も上手い具合に配置されていてリラックスし易い。

 奥の方に置いてあるピアノから流れる自動演奏。今日も変わらず聞こえてきた。


 カウンター席の一角にアルコール以外のフリードリンクも常備されている。

 ただこの待機室にはアンドロイドは配置されていない。言うまでもないがセルフサービスとなっている。


 当然飲み放題……お酒が無いのが悔やまれる。


 周りを見渡すが、まだ誰もいない。ここでも我々ペアが一番乗りだ。

 時間を確認すると作戦開始までまだ一時間以上。


 誰もいないカウンターにエリーと座る。私達の宇宙服の色は周りの色彩と同じ白。

 私はアイスティー、エリーはハーブティーと共通の趣向の飲み物を選ぶと空間モニターを呼び出し作戦内容を確認してみる。


「ん? 今回エリ姉達は艦内待機?」

「そう……見たいね〜」


 ペアの待機者は、いつもは司令室の脇にある通信ルームに集まり、出向いているペアとの連携・連絡役を担っている。


 今でも通常通信は電磁波を使用しているので、どう足掻こうが光速以上の速度は出せない。さらに距離や障害物により情報量の減退も普通に起こる。

 遠方と遅延なく確実に連絡を取るには「実際に出向く」か、条件を満たした「探索艦を利用した双子による精神的繋がりリンク」のどちらかの方法しかない。

 前者は情報の差異はないがやはり移動に伴う時間は掛かる。

 片や後者はどんなに離れていても、「本人達と自艦AIだけ」だが、隣にいるのとの差異はない会話が可能となる。

 また艦AIの補助により会話だけでなく、単純な数値の送受信のやり取りも可能となっている。


 これを『繋がりリンクシステム』と名付けているが方法は「双子による精神的繋がり」を利用しているとのこと。なので大前提として双子でなければ探索者になれない。ただし双子なら誰でもなれる、という訳でもない。


 そんなシステムの都合上、通常はペアの片方が基地に残り、もう片方との連絡係をしている。その関係で、作戦中は司令となる主任のそばで待機しているのが通例となっていた。


 だが今回は自艦の中で待機。こんなの初めてかもしれない。

 作戦内容自体はいつもと変わらない。現地確認と数値取り。

 後は上空からの地上走査と画像情報集め。

 万が一、「目標物」が発見された場合には通報して即時帰投。

 たったそれだけだ。


 たったそれだけなのに、今回二班投入で二班待機。

 さらに通常探索任務の待機者まで艦内待機を命じられている。

 いくら慎重派のサラでもやり過ぎ? の気がする。


「もしかして、今回は当たり?」


 神妙な面持ちでモニターを見ながらエリーに問い掛ける。


「ん〜、聞いているのとちょっと違うと思うんだけどな〜」

「そだよね~」


 何もかもがいつもと違う。どうしても腑に落ちない。


「アルはどう思う?」


 アルテミスに聞いてみる。


(多分、外れ)


 私だけでなくエリーにも返答があった。今は私、アル、エリーとの三者脳内通話。


(多分?)


 疑問を投げかけた。


(99.8%の確率で外れ)

(0.2%残りは〜?)


(目標物ではニャイが、関連物がある可能性が高いニャ)


 エリーの艦AIである「ミケちゃん」が参入。彼女もアルと同意見のよう。

 現在、四者通話状態。


(関連物……ねぇ)

(探索者にとってこれが最初の「遭遇」にニャるかも。想定以上の事態が発生しても、サラ主任の布陣ニャらどっちに転んでも継続可能だニャ)

(どっちか〜できれば私達のどちらかが行きたかったわね〜)


(最悪の状況、サラ、考えた。万が一、四班は保険)


 アルが静かに呟く。


 そう、私達よりも先輩であり経験豊富なラーナ&ルークが待機している。

 もしこの二人が後発で出撃して何かが起きた場合、私達ペアが最古参となってしまう。しかも残った探索者は皆経験が浅くて若い。


 サラ、というかBエリアとしては全てを失う訳にはいかないのだろう。当然だが片割れを失ったペアはこの仕事を続けることは出来ない。

 そう言われると文句が言い辛い。


 突然、待機室の扉が開く。私とエリーが同時に振り向く。


 マキとマリが入ってきた。着ている宇宙服は空色。

 マリ(姉)が何故か怒っている。マキ(妹)もだ。



 一体どしたの?



「なーなー聞いてーな」


 マリが私達の所へ駆け寄ってきた。その後をマキもついてくる。


「どしたの?」


 勢いを感じが雰囲気はいつもと同じ。

 切羽詰まった用事では無いなと判断し、普段通りの応対を心掛けてマリに聞いた。


「サラに「ウチらに行かせてーな」と言うたんや」


 今回のことだろう。さっきこの二人が会議室に残っていた理由が今やっと分かった。


「けどな、真面目な顔で「作戦に変更はない、さっさと解散!」と取りつく島もない言い方されてな、頭にきたさかい「そんな事やから男もでけへんのや!」と言ったったんや」



 おいおい子供の喧嘩かいな……



 この二人はシェリー姉妹と同期の二十歳で私が「新人教育担当」として初めて受け持った後輩。

 明るい性格をしており、我がBエリアのムードメーカー的な存在でもある。

 容姿だが、身長は私達と変わらないがサラの次にメリハリがある羨ましい体型をしている。


「それで?」

「そしたら主任突然泣き出してな……」

「え? マリ、今なんと……」

「だーかーらサラが泣き出してな」


 エリーと共に目と口を大きく開けてマリを見る。

 その時、扉が開く。

 四人がそちらを見ると、そこにいたのはラーナを引き連れたローナであった。


「貴方達ね? サラを泣かしたのは♩」


 入るなり、マキ姉妹に文句を言ってくる。

 それに対し、二人は目を逸らして閉口してしまう。

 因みに背後にいるラーナは冷や汗を流しながら明後日の方を向いている。


 この二人は黒色の宇宙服を着ている。


「で、でもな……」


 あらあら、ローナ相手に口答えするつもり? 知らぬ間に成長したのね。


「もう子供じゃないんだから文句は言わない♩ 全くサラを泣かすんじゃありません♩」

「うっ」


「でもルークならいいわよ♪」


 流石はローナ。落とし所を弁えている。


「でも〜あの主任が泣くなんてね〜」

「見たかったわ」


 私も同意見。


「誰にだって触れられたく無い過去はあるでしょ? サラの唯一の弱点だからそこは弄ってはダメ♩」


 ローナが真面目な顔で諭す。



 むむ? 少し怒ってる? ってゆーかサラの過去?



 ラーナは直立不動で瞬きせずに震えている……ということはローナは怒っているんだね。


 マリもマキも自分達よりも小柄なローナに怯えている。直感が働いたらしく、蛇に睨まれたカエルの様に微動打にしなくなった。

 その光景はヒグマに怯えた子鹿そのもの。ラーナに至っては子ウサギ。


「ま、まあ覚えておくわ〜」


 慣れている筈のエリーでさえ僅かに冷や汗をかきながら作り笑顔をしてハーブティーを飲む誤魔化している

 因みに私は既に耐性が付いているので気にならない。


「ほらみんなこの話題はもうお終い♩ いつもよりも(出発までの)時間が長いんだから有意義に過ごしなさい♩」


 マキマリに解散を促す。

 すると二人は覚束ない足取りで、離れたソファーに腰掛けてジュースを飲み始めた。


 まあサラに絡むとは。自業自得だな。


「二人ともちょっといいかしら♪」


 ローナが今度は私達に話しかけてきた。


「ブ⁈ は、はい?」


 気配もなくそばに来ていたローナに、飲もうとして口まで運んだアイスティーを危うく吹き出しそうになるのをなんとか耐える。

 一方ローナは口元に人差し指を立てて「内緒の話♪」と囁いてきた。


「エマ。今後、何が起きても貴方は♪ いい? 命令は♪ 自分をそして仲間を♪」


 とイタズラっぽくウインクしながら呟いた。


「やっぱり何かあるの?」


 私も小声で聞き返す。隣のエリーもローナを黙って見つめていた。

 ローナは少しだけ驚いた顔をしたが、すぐに笑顔に戻して


「よしよし、今はそれでいい♪ ともかく今言った事を覚えておいてね? 約束よ♪」


 と言ってからローナが近づき私達二人をそっと優しく抱きしめる。そして微笑を浮かべながら離れていく。

 傍らでは相変わらず姉に怯えているラーナが私達をチラチラ見ながらついていった。


「何のことかしらね〜」

「うん」


 二人して首を傾げる。私は妙な汗を流しながら紅茶を飲み干した。

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