第16話
劇団に入って少しずつ役がついてきた
舞台のオーディションもたくさん受けてみるも、後1歩のところでダメだった
食べていけるだけの金を稼げて
そこそこの仕事もある
でも、俺は現状には満足出来なかった
3年の月日の中で
凛のことは思い出にしようと、何人かと付き合ってもみた
酷いやつもいれば、素敵な人もいた
でも、いつも、最後は同じ
好きになろうとして始めた恋は
冷めていく気持ちが手に取るようにわかる
「慧は優しいんだか、冷たいんだか、わかんない」
わからなければ、
わかろうとしてくれるな
それまでだ
人は理解しようとしてするんじゃない
誰かと出会って、その人に興味を持ち、
もっと知りたいと思う。
目を見て話して、
笑いあって、喧嘩して
視線が絡み合う度に少しずつ心が通い合う
自然なことだと思う
稽古が終わって、近くの定食屋でご飯を済ませた帰り道
青い月を見てると
今夜は何故か今までの自分のことを
まるで1つの舞台を観るように思い返してた
そして、これからのことを考えた
俺はいったい何処に向かってるのか
そう思った時
浮かび上がった文字
いつか、舞台観に行くね
絶対絶対観に行くから!
凛...
そんな約束
もう、忘れたか?
俺はその言葉に向かっているんだと
確信してた
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