第14話
明くる日
凛は卒業式には来なかった
アイツ昨日はもう来ないつもりであんなこと
式が終わると凛の友達から凛からだって、大きな封筒が渡された
俺はその中身をすぐに見ることが出来ず、
大学を出てあてもなく街を歩いた
そして、足が向いたのは凛と夏の日、汗を流した下町のショッピングモールの屋上
休憩の時2人でアイスを食べながら座ってた
ベンチに腰を下ろし封筒を開けた
中には1冊のノート
1頁目に手紙が挟まってた
慧へ
卒業おめでとう。私もだね。
勝手に行かなくてごめんなさい。
そして、劇団のこともおめでとう
あの日、初めて会った時
いきなり、手を引っ張られて、走らされて...
何て人なの?ってビックリしたよ
けど、あれから、毎日のように一緒にいて、慧のことどんどんわかっていったんだ
不器用だけど、優しくて
乱暴だけど、あったかくて
私しか知らない慧もいるんだよって皆に
自慢したいぐらい
あっ、照れてるでしょ?笑
私の小説の中で1番の作品わかったよ
ノートの最後のページの文字が滲んでたから
慧の涙のノートはお守りとして私が持っていたいから
新しく書き写しました
このお話、慧も持っててね
どんな時も私のこと励ましてくれて、
支えてくれてありがとう。
誰にも見せてなかったホントの私を慧が見つけてくれたのかもしれない
あなたが私の背中を押してくれなかったら
新しい扉を開くことはなかった
私の書いたものを初めて読んでもらった人が慧で本当に良かった
いつか、舞台観に行くね
絶対絶対観に行くから!
それぞれの道を精一杯進んでいこうね
あなたが
大好きでした
たくさん、たくさんありがとう
凛
っんだよ、好きな作品は今日言うって言ったじゃん...ウッウッ...
俺はまた、凛の文字を涙で滲ませた
大好きな愛しい人は
よく笑う、ちょっと天然で
でも、おっきな夢に向かって
力強く進んでいく人だった
いつか、その人に胸を張れるような人になりたい、
そう思って、涙を拭い、空を仰いだ
凛
ここから、一緒にスタートだ
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