第3話
どんなバイトかって?
イベントで着ぐるみを着て踊ったり、時には演技っぽいこともする。
どうやら、背が低い人を探していたらしい
っで、私がちょうど良かったってこと
季節は春
まだ、そこまで暑くないと言えども
なかなかの重労働。体力もいるってことね
「凛、行くぞ」
「待ってよー。もう?」
「そっ、休憩終わり!」
「えー。きついー」
あの彼の名前は石原慧
同じ大学で同い年
イケメンなくせに結構、厳しい
だいたい、初対面からあんな調子だったんだから、それ以降はさらに...
すっかり打ち解けて、お互い名前で呼ぶようになった
「ふーん、文句言うなら辞める?」
「辞めません、やります、やります」
「だよなぁー、ククク」
「何がククク...よ。鬼慧」
「はぁ?何て?」
「いーえー、なぁーんでもございませんよー」
「あっ、忘れてた!凛、今日終わったら時間ある?」
「うん。大丈夫だけど」
「ご飯食べに来ないか?って裕翔さんが。
彼女の美紀さん、美人で料理もめちゃくちゃ上手いんだ」
「私が行ってもいいの?」
「先輩が凛、良くやってくれてるし歓迎会もしてなかったからって。だから、今日は凛がいないと...って感じかな」
「そうなのー!ありがとう!行くよ」
「了解。じゃ、もうひと仕事な」
「うん、頑張る!!」
「単純なやつ」
恋する女の子は皆、単純なの
些細なしぐさでさえも
元気のバロメーターに左右する
クシャッと笑う顔
意地悪っぽく笑う顔
優しく笑う顔
笑顔にはこんなにもいろんな顔があること
初めて知った
それは
その人を真っ直ぐに見ているからわかること
いつからなんだろう
私は彼に会える時間が
大切な時間になってた
瞬きするほんの1秒でさえも
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