第7話
午後の授業のチャイムが鳴り始めた、
彼女は、おなかが痛いと言って珍しく早退してしまった、
中原はいつも通りに帰ってきた仲間とじゃれ合っていた。
僕も自分の席につき、本を読むことにした。
そして普段と変わらない授業が始まり、
僕は気を張っていたせいかつかれてしまい、机に突っ伏しているうちにいつのまにか
授業が終わっていた。
放課後となり、席を立ち帰ろうとしていた時、
中原が珍しく声をかけてきた
「今日部活ねえから、一緒に帰ろうぜ」
といってバシッと背中をたたいてくる
「おう。」
僕もバシッと返す
帰り道、夕日に染まる歩道にふたつの大きな影が並んでいる、
一つの影がしゃべりだした。
「なあ、お前は気づいてたのか」
もう一つの影は少しびくっと体を縮こませ、
「、、ああ」
と返事をした。
「そうか」
大きい方の影はそう言って
もう一回り大きくなった。
「俺さ、、上村のこと中学のころから見ててさ。」
小さな影は驚いた様子で
「同じ中学だったのか」
と独り言のように小さくつぶやいた
「ああ、、ほんと全然気づかなかったよ」
大きな影はしゅんと肩を落とした。
「ずっと見てたのに、、」
この瞬間、小さな影はぐらっと揺らめいた。
「うん、」
大きな影は決意をしたようにまた一回り大きくなった
「俺さ、、好きなんだ、、」
小さな影は強い日差しに強く強く照らされ
だんだん見えなくなってきた
「、、僕にできることがあるなら、手伝うから。」
大きな影はその場に立ち止まり。
消えそうになった小さな影と重なり合う、
僕の胸は激しく鼓動を打ち
ミツバチのトゲに刺されたように
酷くひどく腫れていった。
この時、なにか言えばよかった。と今でも後悔している。
でも、この時の僕はこの感情が何なのかを知らなかったのだ。
僕は君のヒーローにさえもなれなかった。
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