第6話
それから、授業が始まって、
皆は一斉に席に座り、ノートをとっている。
そして休み時間になると集まっては騒ぎの繰り返しだ。
昼休みなんか特にうるさい。
女子達だ。
ほとんどの男子は外に行くのが昼休みだ。
ただし僕は例外だ。
外で遊ぶなんてつまらないことまっぴらごめんだ。
だからこそ
彼女の周りに取り巻きがいないことを確認し
彼女の席で構え
ぐちぐちと言い張り、
彼女の綿あめのようにくるくるとしている髪をひっぱり、
小さい彼女の頭を振り回す、
そしてあげくのはてには彼女の机を蹴ってわらうのだ。
いつもなら、僕はその様子をただ黙って本を読みながらちらりと横目で見るだけだ。
ここでなにかしたら、彼女をいじめている女子達になにをされるかわからない。
そう思うのだ。
そして今日も、彼女はきちんそいつらの目を見て、噛みつくようにじっと見つめている。
痛いとも、やめてよともいわない彼女は、強くたくましい。
でも、今日の僕はなぜだが本を読むのをやめた。そして席を立っていた。
そのまま彼女たちのほうへと歩いていった。
彼女たちは僕を気にも留めずに続けていた。
と、その時、勢いよく走ってきた中原が入ってきたのだ、
「かーはーら!聞いてくれよ!!提出物出せって言われて。。」
彼は彼女たちの方をじっとだまって見つめていた。
そして笑顔だった中原の笑顔はすっとなくなり、
たちまち怒りのような困ったような苦笑顔になった。
それでも笑うのは彼の優しさなのだろう。
中原はこの事実を知らなかっただろう。
彼はいつだってクラスの中心だ。
昼休みになると僕以外の連中を引き連れて遊びに行く。
そもそも男子たちは対立も何もなく基本仲がいい。
それでも立ち位置というものがあるからわかれているだけなのだ。
僕は、いつも調子が悪いと言って断っているから、僕以外全員が
外にいるからこそ、女子達の彼女への坊領は僕だけしか知らないはずだった。
中原は上村を守るように彼女たちの前に立ちはだかっていた。
そして
「おまえら、上村さんから離れろ」
その声は、僕すら聞いたことがないとてもおぞましいものだった。
一人の女子がひっと声を上げ、それに続きほかの女子も急ぎ足で教室からどたばたと走っていった。
僕もだいぶ驚いて、怖気づいてしまい、その場に立ちすぐんでしまっていた、
中原は冷静に戻ったようにハッと気が付き、
うつむいて泣きそうになっている上村さんの目の前に立ち、
「ごめん、ごめんな、上村気づいてあげれなくてごめん」
彼は頭を下げ悔しそうに唇をかんでいた。
彼女はぽたぽたと昨日のように、涙をながし、
「ううん、中原君ありがとう、」
と泣きながら、笑顔で中原に伝えていた。
僕はなにもできないまま、その光景をただひたすらに見ていた。
そして同時に、なにかもやもやとしたものが心にざわめいた、
なにかわからない、
とてもわからない。
ただ、なぜだが、こういうことをやってのける中原に腹が立った。
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