第2話

学生時代、彼女と出会った。

彼女は僕も含め。複数という男子に好かれていた。

彼女は例えるなら、大きくて目立ちたがりのひまわりや薔薇ではなくて

菫のように、小さく、うさぎのようにあたたかい。

そんな存在であったからこそ、好かれていたのだろう。

だが、そんな彼女だ。

異性に好かれている反面、同性からは

「ビッチだ」「ぶりっ子だ。」などと

罵られていたのだ。

僕はそんな彼女を見るのがとてもとてもいやだった。

しかし、そんな彼女に、王子様が現れたのだ。

それはもちろん僕ではない。

僕は観客で裏方にも回れないのだ。

君は、シンデレラを知っているだろうか、

あの童話と同様、

彼女は灰かぶりの美しい女性で、

それを助ける、魔法使いが神様であるとすると

王子さまは突然現れた。

そして、美しいシンデレラに大きく優しい手を向け王子さまは言った

「そう強がらなくてもいい。泣いてもいいんだ。」

美しいシンデレラは、王子様の手を取り、

赤子があげる産声のように大きく大きく泣いた。


僕は立ち上がり、大きく拍手をする。

目を見張り

彼らが見えなくなるまで。




そして

今も時折哀しくなるのだ、あの時、もし彼じゃなく僕が舞台に上がっていたら、と。






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