第2話
学生時代、彼女と出会った。
彼女は僕も含め。複数という男子に好かれていた。
彼女は例えるなら、大きくて目立ちたがりのひまわりや薔薇ではなくて
菫のように、小さく、うさぎのようにあたたかい。
そんな存在であったからこそ、好かれていたのだろう。
だが、そんな彼女だ。
異性に好かれている反面、同性からは
「ビッチだ」「ぶりっ子だ。」などと
罵られていたのだ。
僕はそんな彼女を見るのがとてもとてもいやだった。
しかし、そんな彼女に、王子様が現れたのだ。
それはもちろん僕ではない。
僕は観客で裏方にも回れないのだ。
君は、シンデレラを知っているだろうか、
あの童話と同様、
彼女は灰かぶりの美しい女性で、
それを助ける、魔法使いが神様であるとすると
王子さまは突然現れた。
そして、美しいシンデレラに大きく優しい手を向け王子さまは言った
「そう強がらなくてもいい。泣いてもいいんだ。」
美しいシンデレラは、王子様の手を取り、
赤子があげる産声のように大きく大きく泣いた。
僕は立ち上がり、大きく拍手をする。
目を見張り
彼らが見えなくなるまで。
そして
今も時折哀しくなるのだ、あの時、もし彼じゃなく僕が舞台に上がっていたら、と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます