▼【左へ曲がる】
ほんのりと灯りが見え、迷わず左へと曲がった。運がいいのか、すぐ側の座敷の障子が中途半端に開きっぱなしになっている。細い隙間に体を滑り込ませ、素早く閉めた。
そのまま腰が抜けてしまい、その場にへたりこんだ。咄嗟に逃げ込んだものの、入ってこられればどうしようもない。戦慄しながら障子の方を見つめる。
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
徐々に近づいてくる足音と共に、地面が揺れているのが分かる。
ふっと視界が翳った。
ギッ
目の前の障子いっぱいに、暗い影が写り込む。
「…………!」
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ
ギッ‥‥‥‥
どれくらい息を詰めていただろう。足音が遠ざかり振動も消えてから、ようやく溜めていた空気を吐き出した。
「何なんだ、あれ」
逃げ出す間際に見た姿も、先程障子に写った影もとんでもなく大きかった。咄嗟に身を隠してしまったものの、この屋敷の人間だとは到底思えない。できればもう会いたくなかった。
「……そういえば、この部屋は…?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます