▼【座敷の外へ出る】
いつの間に開いていたのだろう。そっと近寄り、手をかけてみる。あれほど強く引いても開かなかったのが嘘のように、襖はなんの抵抗もなくするすると動いた。
とん、と軽く打ち止まるまで全開にすると、暗い廊下に座敷の明かりが薄っすらと漏れ広がった。顔だけ出すようにして、外の様子を伺う。
やはり誰もいない。
向かって右はすぐ行き止まりになっており、此処はどうやら一番端にあたる座敷らしい。進むなら左側へ行くしかない。流石に回廊の先までは照らせず、奥に行くにつれ暗闇が蟠っている。
怖い。できることなら、この明るい部屋から一歩も出たくない。でも、いつまでも此処に居るわけにはいかないのだ。
「帰ろう……ぜったいに」
励ますように声を出し、足を踏み出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます