▼座敷を探索する

 まず、座敷内を調べることにした。

 布団の周りに落ちているのは、色とりどりのおはじきと、うつ伏せになった人形。何か手がかりになるような物はない。ただどうやら、玩具を見るにこの座敷の主は少女であるようだ。

 

 そして、かなり決まり悪く感じつつも箪笥も開けてみた。古臭いような香りが鼻を付つき、そこには鮮やかな模様の着物が隙間なく仕舞い込まれている。やはりここも何も無さそうだった。

 三段になっている引き出しを順に見ていく。どれも衣類が詰まっており、最後にてっぺんの引き戸に手をかけた。頭より高い位置にあるので、背伸びしないと届かない。



 ゴトンッ


「痛っ」


 頭上にある其処を開けた途端、何かが落ちてくる。それは肩にぶつかったあと、ごろりと畳に転がった。


「………なんだ?」


 拾い上げてみた。ぱっと見、雛人形を思わせる。感触は硬い。

 木を彫って作っているのか、本体はやや黒ずんだ肌をしている。纏っている華やかな着物から、にょきりと異様なほど長い首が伸び、本来頭があるべきその先端には何も無かった。壊れているのだろうか。


「どうしよう、これ」


 箪笥に入っていたのだから、元の場所に戻したほうがいいだろう。しかし、背丈がやや足りないので戻すとなれば、引き戸を開けたあと、奥へ放り込まなければならなくなる。流石に他人の物を粗雑に扱うのは気が引けた。


 とりあえず、人形らしきものは持っていくことにした。

 あとはどこを調べようかと思い、振り返る。そこで、先程とは異なる様子に気づいた。

 


 襖が、開いている。


 



―――――――――

🔽

 ❉もう少し座敷に留まる

 ❉座敷から出ていく

――――――――――――――――――――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る