第15話 彼女の仕事


 ふふふ〜、でも実は、幾つか仕事には目をつけてあるのさー。

 住民票を移して、健康保険証も届いて! さあ、いざゆかん!! だ!!!!

 と、意気込んでたのに。

「あらぁ、だったらココで働いたらぁ〜」

 って、あっさり決まっちゃったよ!? はいぃぃぃぃ?

「どーゆーコトだッ!?」

 驚愕するヒロに激しく同意だよ。

「あのねー、近くのコンビニあるじゃん? たまに買いに行くさー」

「あー、あそこか」

「そーそー、便利でついよっちゃう罠!」

「よく店員のおばちゃんと話してたが、もしや」

「店長さんだったのさー。いや〜、アルバイト募集の張り紙がしてあったから聞いてみたら、もーあっさり」

「大丈夫なのか? それ」

「うん、分かんない!」

「そんなことも、ある、のか?」

「ねーぇ」

 ………………んなわけ、あるかーーーーー!!

 何、コレ? 上手く行き過ぎでしょうよ?

 何なの、これ?? クソ神様の所為なの、何なの? 不気味だよ?

 絶対に何か変な力が働いてるとしか思えない!

 とはいえ。

「イラッシャイマセー」

 ええぃ! もう、しのごの言ってらんない! 女は度胸よ!!

 って、ことで近所のコンビニで働く悪役令嬢デス。

 見た目はめっちゃ外国人だから初めは驚かれるんだけど、日本語をぺらぺら喋れることが判ればそれなりに警戒心をといてくれるみたいだ。

 にしても、何故こんなにも順調なのか。フラグか。とてつもなーく、嫌な予感がするんですけど。

「イラッシャイマセー」

 とりあえず、笑顔で接客ダ。

 にしても、何故に周りもこんなにすんなり受け入れているか。

 あれか? この美貌の所為なの? 魅了の魔法は使ってないよ?

 さらに、さらに、嫌ぁ〜な予感がするのは。

 アレ? これってさー、あのクソ神様が顕現した楠木と同じ気配がしてるよね? って場所を発見してしまったこと!

 いや、心当たりありまくりだけどね!

 うん、シャリエールが初めてこの世界に降り立った場所だね!!

 おまわりさんが怖くて近づいてなかったけど、町中の道を見た瞬間、解っちゃった。

 たぶんコレ、異世界へ転移する時にできるモノだ。

 楠木のところで気付けなかったのは、あそこがきちんと浄められて守られていた場所だったからなんだ。

 ここは本当にそのまま、ほったらかしだから、歪みが凄いことになってる。だから、解った。

 なんてことしてんじゃ、あのクソ神様は!

 ってゆーか転移ってやっぱり神様レベルじゃないとムリなんだねー。しかもシャリエールは頼子と違って生身だったしね。世界に歪みくらいできるわぁー。

 …………………ホンット、ロクな事しないな、あの神様!!

 泣けるよー。こんなの、どーしろとゆーのさ。

 私の所為? 私の所為なのッ!? これ何とかしろとか、ムリゲー過ぎるんですけど。

 ご都合チート展開は正直めっちゃ助かるけど不安で堪らない!

 悪役令嬢って世界救わないとダメですか!?

 ヒロイン! ヒロインを今すぐプリーズ!! もしくは勇者ーーー!

 あぁあぁあ、だけど! 今はとりあえずやる事やります!!

「棚出ししまーす!」

 仕事するんだ! でもって給料もらうぞ!! そして、もう一つの野望を叶えるのだー!

 …………………いや、マジで、癒しがないとやってけないの。私にスイーツください。食べ物じゃないヤツで。

 予想外の出来事が多過ぎて、絶賛テンパり中の悪役令嬢なのでした。





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