第110話 挑戦内容
「勝負内容は、どちらが美味しい食べ物を作るか、でどうでしょうか?」
ん、料理対決って事か? ティアが食事を作っている所を見たことがないんだが……。
「ティアさんって、料理作れるんですか?」
「──失礼ですねカナデ様! こう見えて知識量じゃ誰にも負ける気はありませんよ?」
す、すごい自信だな? この勝負は受けるのをやめておいた方がいいかもしれないな……。
「ルールは制限時間を設け、チーム同士で料理する、なんてどうでしょうか? その方がフォルトゥナ様もハーモニー様も楽しめますし」
──ん? って事は。
「チーム戦ですか? もしかしてニ対ニで?」
勝手に決めていいものなのか? と、トゥナとハーモニーを見ると「面白そうね!」「腕がなりますね~!」と
いろんな意味で、トゥナの張りきりが少々怖いが……。
「メンバーは、カナデ様が決めて貰ってよろしいですよ?」
……あれ? もしかしてトゥナが飯マズなのを知らないのか? 普通にこれは、チャンスではないのだろうか?
いやしかし、ティアはただ知らないだけではなく、もしかしたら知ってる上で勝てる自信があるのかもしれないな?
う~ん……。一応チーム分けの確認だけしておこうか?。
「じゃぁ、俺がハーモニーと組みたいって言ったら?」
「もちろん構いませんよ?」
それを聞き、何故かハーモニーが若干嬉しそうにしてるのだけど……。──うん、よっぽど料理が好きなのだろう。
勝てる可能性を考慮するのであれば、ハーモニーと組む方が良いだろう。しかし、この組み合わせには、一つ懸念があるんだよな……。
「ハーモニー。一応確認しておくけど、まさか手を抜いたりしないよな? 手を抜いても、見てたら分かるからな?」
「そ、そんなことしませんよ! 食材に失礼になるじゃないですか~! カナデさんには負けて欲しいですが、そんなことは絶対しません~!」
──負けて欲しいのかよ! 俺のあの格好は、お子様には刺激が強いだろ……?
「どうしますか? この勝負……受けますか?」
「受けるにしても、設備と食材はどうするんですか?」
俺の発言に、ハッとした顔をするティア。
そこまで考えてなかったのか? 時々……いや、ここ最近常に疑ってる。この人は本当に優秀な人材なのか? っと。
「──いいねぇ~いいねぇ~! その話、こちらで面倒見ようではないか!」
この声は……船長か!? 今日はどんなポーズが!
俺はつい振り返り、船長の様子を確認してしまった……。
なんと! 今日はポーズではなく息をするようにハーフスクワットをしていたのだ!──ちょっと期待していたぞ、どうしたんだ、俺!
「──船長様、よろしいのですか?」
何事もなかったかの様に普通に話しかけるティア。──むしろ、突っ込みを入れなくてもよろしいのですか?
「はっはっは、君らが作ったものを皆に振る舞えば、食料も無駄にならず尚且つ審査員にもなる。もってこいの娯楽だろ?」
前にも言ってたな……海の上は娯楽が少ないんだっけか? 何でも祭り事にするのはいいと思うが、時と場合と場所を考えろよ。
「ふっふっふ、カナデ様、もう逃げ場はございませんよ?」
確かに、完全に外堀を埋められたな……。でもまぁ、あれを作るちょうどいい機会かもしれないな。
「分かった分かった、受けてやるよ。その代わり俺が勝ったときの約束……忘れるんじゃないぞ?」
そんな発言に「カナデさん……えっちなのはいけないと思います~!」っと、ハーモニーは睨み付けてきた。──別にそんなつもりは無いのだけど……。
「構いませんよ、もうすでにこちらが勝ったようなものですから!」
ティアはそう言いながら、トゥナに熱い視線を向けた。それを見て、一つの疑惑が生まれる。──もしかして、トゥナと一緒に料理したかっただけなんじゃないのか?
「チームで打ち合わせもあるだろう? 会場の準備が出来たら声をかける、お互い部屋で打ち合わせをしたらどうだろうか? 使える食材も追って連絡させる!」
スクワットでいい汗をかいた船長は「は~っはっはっは」っと、高笑いをして会場の準備に向かったようだ……。
それにしても、話がどんどん大きくなってる。一日のんびりは、諦めた方が良さそうだ。
「カナデ様、それではお互いにベストを尽くしましょう」
「また後でね、二人とも」
ティアとトゥナも一度部屋に戻るようだ。今回の戦いだけは ……何があっても負けられない戦いになりそうだ!
「それじゃ、ハーモニー。俺の部屋で打ち合わせをしようか?」
「は、はい! そ、そ、そうですね~!」
お? やる気で震えてるのか?
そんなハーモニーと共に、俺達は自室に戻ることに。──さて、ティアのやつに目に物見せてやるぜ、覚悟しろ!
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