第18話 神様



 神様という存在がこの世界にいるとは思わなかった。

 誰だってそうだろう。


 目にした事がある人なんていないし、目にしたという人がいても、信用できる情報か分からない。


 でも、俺達はその時見たのだ。


 神様と呼ばれている存在を。


 しかし、神様が都合のいい奇跡を運んできてくれたのかと言うと、そうではなかった。


三座「あやの!」


 あやのの元に辿り着いた時、彼女はその場に倒れていた。


 黒服たちはいない。


 外傷はない。

 だが、いくら呼びかけても目を覚まさないでいた。

 

 病院に運ばなければ、と思ったがそこに少女の声がかかる。


???「去れ」

三座「誰ですの!」


 声がした方に視線を向けると、そこには予想通り小さな少女の姿があった。


 だが、少女の着る服は昔の人が着るようなものだった。


 どこを見つめているのか分からないぼんやりとした表情で、その少女は告げる。


???「その者は、後悔に呑まれた。悔い改めぬ者は去れ」

三座「何か知っているんですの」

???「……」


 しかし、少女はそれ以上何を言うでもなく、唐突にその場から消えてしまった。


考子「今のは一体……」

三座「分かりませんわ。でもそれよりあやのを運ばないと」


 意味の分からない出会いとやりとりだったが、後のその山に災という幼い少女の姿をした神が住まう事を知った。


 罪に厳しい神は、悔い改めぬ者に厳しいとも。


 倒れたあやのは目覚めなかった。


 どんな治療法をためしても。





 


 

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