第17話 脱出不可能
俺達はこの日を境に梓と話をすることも、顏を合わせる事もなかった。
山吹梓という人間の過去を知るのは、彼女がなくなってからになる。
梓が決死の覚悟で稼いでくれた時間を活用して、逃走した俺達。
だけど、まだ危機は去っていなかった。
あやの「来てる、来てる、来てるわぁ。もう大量ねぇ」
三座「のんびり言ってる、暇ないですわよ。あなたこの中で一番戦闘能力低いんですから、しっかり逃げてくださいまし」
あやの「確かにちょっとやばいかも」
背後から、数人の黒服たち。
考子「これじゃあ、埒が明かねぇ! 三座、携帯は!?」
三座「圏外のまま、繋がりませんわ!」
あやの「これはいよいよお姉さんの出番かしらぁ」
三座「馬鹿な事言わないでくださいな。一般人でしかないあなたに何ができるというんですの!」
あやの「障害物くらいには?」
三座「あなたを捨て石にするなんて御免ですわよ」
あやの「三座ちゃんったら、日ごろ連れない態度なのにやっぱり心の中では私の事お友達だと思っていてくれるのねぇ」
三座「こんな時にふざけないでくださいまし!」
人気のあるところまでいけば、どうにかできる自信がある。
一般人の目撃者がいる場所で、奴らが行動できないと言う事は今までのパターンから分かっていることだった。
けど、そこまでがあ果てしなく遠い。
辿り着く前に、捕まってしまう可能性が高かった。
三座と考子だけなら、なんとかなるかもしれないが、全てが一般人並であるあやのを連れてこの神代山から脱出するのは不可能に近かった。
あやの「友達っていうのは、守られてばかりじゃないわよね。お姉さん、三座ちゃんの足手まといになるのは嫌なの」
三座「あやの!?」
あやのは走るのをやめて立ち止まった。
三座「何を考えているんですの!」
あやの「ほらほら、こっちよ。私を人質にしてみたら?」
そして、別の方向へと走っていく。
黒服の人数は、さらに少なくなった。
この分なら逃げるまでもない。
考子「あの馬鹿」
三座「くっ、やりますわよ。考子様!」
ここで、決着をつけて応援に行くしかない。
あやのの方にむかった黒服が馬鹿でなければ、何の力もない彼女を「人質」として捕まえてくれるはずだ。
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