第7話 あらゆる角を丸くする

幼い頃から、角が嫌いだ。目に迫ってくる感じがして嫌だ。


その反動か、丸いものに執着がある。

テーブルも丸、イスも丸、角が出ているものは全部嫌い。僕の周りには丸いものだけがあれば良い。


人間関係においてもそう。角が立つのは嫌だ。丸くおさめるのが1番である。


あらゆる角を丸くしたい。


おっと。この文章も、角がある。

書き直しだ。


あらゆる角を丸にしよう。


『幼い頃から、丸が嫌いだ。目に迫ってくる感じがして嫌だ。

テーブルも丸、イスも丸、丸が出ているものは全部嫌い。僕の周りには丸いものだけがあれば良い。


人間関係においてもそう。丸が立つのは嫌だ。丸くおさめるのが1番である。


あらゆる丸を丸くしたい。


おっと。この文章も、丸がある。

書き直しだ。』


ダメだ、書き直したのは良いが、丸がでしゃばり過ぎて今度は丸が嫌いになってきた。


次は丸を排除しよう。

僕の人生の全てから。


ああ、そう言いながら、文の最後は「。」になってしまった。文章を書き続けるなら、この呪縛からは逃れられない。




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