落下
『研究所』
300年前、勇者から聞いたことがある。そこは色んな事を知るための場所。研究者達が集まる場所。その建物はとても頑丈だがその分とても危険な物を扱っていたりする。だがその建物を建築するための技術はここにはまだない。300経った今でもそれを経てるのに必要な技術がある建物を1つも見たことがない。
そんな場所が本当にあるのかと半信半疑だったが、まさか役に立つときがくるとはな。
「じっくり見たいところだがばれている以上急ぐぞ」
そう言って俺は扉を開けようとする。しかし、扉は開かない。隣に出っ張っている所がありそこに溝がある。
「…………」
「あ、開かないの?」
困惑と驚きを隠せないまま俺に声をかけるモミジ。
言うとおり開かない。確か、セキュリティ?て奴か
「いや、問題ない」
俺は力でこじ開ける。扉は開かないようになっていたが為に高い軋むような音が大きくなる。
「きゃっ! って、オーバー?! 大丈夫なのそれ?!」
大きな軋む音に耳をふさいだモミジは無理矢理明けたが為に少し壊れた扉を見てはそう言う。ボイトムもそうだというような目線を向ける。
「大丈夫だ、多分」
「多分……て」
俺が進むと二人もついてくる。すると後ろから天井が開く音がする。
「入ってくるか」
俺は開けた扉を閉ざして蹴る。扉は凹んで歪み、開かなくなる。
「これで当分は入ってこれないだろうな」
「これって私達も出られないんじゃ」
「壊すから問題ない」
「メチャクチャだな」
モミジは驚きすぎたせいか呆れ顔になる。
進むと廊下は左右に別れている。2手に別れるかどうかと言われたら別れない方が良いだろう。話に聞いただけの場所だ。何があるかわからない。二人の安全を安全を考えたらこのまま進むしかない。
「右から行くか」
俺達は右から行く。拐われた人達がここにいると仮定すると出入口近くにはいない筈だ。逃げられたときに脱出される可能性がある。重要な物もそうだろう、なら奥だ。
「おい、部屋の中を見ないのか?」
「人を拐っているのなら逃げられにくい奥だ」
長い廊下の先に扉があった。それをこじ開けると下から上まで筒抜けの空間だった。扉の横には三角のボタンがある。それを押すと光、下から何かが来た。
「この建物内を移動するための乗り物か?」
「縦に動いてる。どういう仕組みなの?」
「ワイヤー見たいのものが見えたからそれで動いているのかもしれない」
良くわからないまま乗る。中は狭く、複数のボタンがある。押すと光、扉は閉じる。体が一瞬軽くなるように感じたと思ったら今度は重くなるように感じた。扉は開く。
「これなら階段を使わなくても上り下りが出来るな」
「うん、こんなスゴイ物をどうやって作ったの?」
「この建物、怪しいとかそういうレベルじゃないことは確かだ」
「動かないで!」
「だれだ!」
後ろから声がした。振り替えると良くわからないものをこちらに向けている少女が睨んで立っていた。
「どうやって入ったの! あのゲートは内部操作でしか開かない筈なのに!」
「……こじ開けた」
「こじ開けた?! 嘘言わないで! あれはハイロードヴァンパイアでも傷1つつけられないのよ! 人間二人とヴァンパイア一人が破れるものじゃない」
事実なんだが、確かにあれは空けるのにも相当の力が必要だった。おそらく人100人集まってもびくともしない。ヴァンパイアロードの上のハイロードヴァンパイアが傷1つつけられないのもわかる。
「単刀直入に聞く、拐った人達はどこだ?」
「拐った、なんのはなし。お前たちこそウィリアムの研究成果を奪いに来たんでしょ」
ウィリアム? 研究成果? しらばっくれて話をそらしているのか、こう言うのは捕まえて聞き出せばいい。
「研究成果か何か知らんが、そんなものは興味ない」
「……ここまで来て師らを切るなんて」
さっきから気になるのは少女の持っている良くわからないものだ。穴が空いているし指をかけている。
「気をつけてオーバー、あれは多分遠距離系の武器だと思う」
「どうしてわかるんだ?」
「あの指をかけているところの形、クロスボウの引き金に良く似てるの」
クロスボウ、勇者が開発した武器か。言われてみれば似ている。けれど弦もない、矢をセットしているようにも思えない。大きさもコンパクトだ。
「おとなしくしてもらうわ!」
そう言うと少女は引き金を弾いた。その瞬間、穴から大きな音と共に小さな塊が出る。とてつもなく早い。
「嘘?! 避けるなんて!」
俺は体を反らして避ける。音速に近いスピード。しかもジャイロ回転だ。体に当たればめり込んで体内に、場所によっては貫通だってあり得る。威力はクロスボウが上だがそれ以外は優秀だ。不味い気がする。直ぐに叩きのめす!
俺は走り出す。
「くるな!」
少女は何回も引き金を引く。
「なっ?!」
連射?! あんな小さい武器で、一発で殺せるようなモノを発射できるのにか!
俺は後ろにいる二人に当たる可能性を考えて全て受ける。
「どうして?! 撃たれてるのに!」
少女が驚いて後退りをする。俺はそこに蹴りを入れる。
「ぐ!」
しかし、横からいきなり衝撃が走り横に体は飛ばされる。蹴りは表面に触れただけでとてもダメージが入ったようには思えない。
「マリーには傷1つ触れさせない」
「ウィリアム?!」
俺を殴り飛ばしたのはどうやらあのウィリアムと言う白い服を着たあの男みたいだ。
ウィリアムも小さな塊を飛ばす武器を持っており、俺に撃ち込む。
俺はもろともせず立ち上がる。すると二人は驚く。
「拳銃が効かないのか?! なら!」
あれは拳銃と言うのか。
ウィリアムはマリーを抱えて上下に動く乗り物の扉を開く。そしてそこに逃げ込む
「逃がさない」
俺は追いかけて扉をこじ開ける。すると上下する乗り物は無く筒抜けの状態だった。二人はその下の扉を開けている。
俺は飛び降りて二人を追う。そして二人が逃げた扉に手をかけようとした瞬間、何か軋むような、鉄同士がぶつかり続けるような音がする。
「?!」
上を見ると上下に移動する乗り物がもうスピードで落下してきていた。俺は巻き込まれ、乗り物の下に張り付く。壁に手を伸ばすがその瞬間、乗り物は一番下の床へ落下し、俺は押し潰された。
「エレベーターを落下させた。1.5トン近い質量が時速100キロを越えるスピードで落ちてくれば、たとえ大型の熊であろうと一瞬で潰れて死ぬ」
俺の聞こえない所でウィリアムは言う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます