第12話
私は暁斗と付き合う事になった。
「お嬢様、おはようございます。」
「暁斗、2人きりの時は
その口調は止めて欲しいの。
せっかく付き合ってるんだから
対等に接したいわ。」
「分かった。
(暁斗に名前を呼ばれるなんて…。
ドキドキ。)
「暁斗、おはよう。」
(お嬢様を名前で呼んでしまった。
可愛い笑顔だ…。ドキドキ。)
お互い付き合うのは初めてなので
側から見たら初々しく見えるだろう。
「暁斗、付き合ってるんだから
恋人らしい事をしたいわ。
今度の日曜にデートに行きましょう!」
「良いね!どこ行こうか?」
「私、ずっとデートで
行きたかった所があるの。
横浜なんだけど…。」
「横浜かー。俺も行った事ないから
行ってみたいな。」
「じゃあ決まりね!」
「あ、
カメラを持つようにしようか。」
「良いけど、どうして?」
「2人の大切な思い出を記録として
残しておきたいから。
例え
写真を見ればその時の想いや感情が
蘇るかなって思ってさ。」
「暁斗…。ありがとう!
デート楽しみにしてるわね。」
そして、デート当日を迎えた。
「暁斗、お待たせ!」
「全然待ってないよ。…。」
「どうしたの?」
「いや…。いつも可愛いけど
今日は特別可愛いなって。」
「!照れるじゃない…。
でも、嬉しいわ!ありがとう。」
「うん!行こうか。」
暁斗は私に手を差し出してきた。
私は手を繋ぎながら横浜の街を
歩き出した。
横浜中華街では、
美味しい中華料理や
肉まんを食べた。
山下公園では、
巨大な船や美しい
公園の風景を撮影した。
デートで回った各スポットで、
食べた物や見た物を撮影したり、
ツーショットを撮影して記録に残した。
そして、横浜ランドマークタワーでは
美しい夜景を一望した。
ランドマークタワーは幸い
人が少なくて貸し切り状態だった。
「暁斗、ここの夜景は本当に綺麗ね。
いつまでも見ていたいくらいだわ。」
「そうだな。写真で記録に残すのも
悪くないけど、目に焼けつけるのも
良いかもな。」
私はふと暁斗の顔を眺めた。
その時、暁斗も私の顔を見ていた。
美しい夜景、貸し切り状態で2人きり。
シチュエーション的には最高だった。
暁斗が私の顔に近づいてきた。
私はそっと目を閉じた。
私の生まれて初めての
ファーストキスだった。
こんな幸せに包まれた日が来るとは
以前の私には全く予想が付かなかった。
これも全て暁斗が変えてくれた人生だ。
しかし、私はこの幸せな記憶を
いつかは忘れてしまうだろう。
だが、私にはこのデートで
撮影した写真達がある。
この写真達を見て、美味しい料理を
食べた事や美しい光景を見た事、
夜景を見ながら初めてキスをした事を
思い出せるだろう。
私の記憶が消える事に対しての不安は
もう無くなったのだ。
私は暁斗に感謝しつつ、幸せな感情に
浸る事にした。
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