第8話
写真部に入って4ヶ月が経った。
屋外活動や評論会で部員同士で
自信を持ち始めていた。
4月の評論会から部長から
何かと声を掛けてくれることが
多くなっていた。
私は単に後輩として、
親しみを持って接してくれて
いるものだと思っていた。
そんな矢先、夏休みが訪れて
撮影旅行に私達写真部は訪れていた。
撮影場所は江ノ島だ。
毎年行き先が変わるらしく、
山と海を交互に行っているが
今年は海の年という事で、
部員同士で意見を出し合い、
水族館や海がある江ノ島に
決めたのだった。
「海だー!水族館だー!」
「やっぱり江ノ島の海は
気持ちいいな。」
「私は海自体、初めて来ました。」
「えー!そうなんだ。
初の海はどう?綺麗でしょ!」
「本当にキラキラして綺麗ね。
素敵な旅行になりそう。」
「素敵な旅行ね…。」
「部長、何か言いました?」
「いや、何でもないよ。
まずは水族館に行こうか。」
「これが水族館…。いっぱい魚がいるね。」
「そっかぁ。水族館も初めてなのか。
今日は初めて尽くしだね!」
「さあ、2人ともこれから1時間の
撮影タイムだ。水族館の撮影は
人が多くて、水槽越しに撮影するのも
難しい。頑張って撮影してこい。」
「はーい‼︎」
「じゃあ、
「うん!また1時間後ね。」
私は初めて来た水族館にワクワクしていた。
前日は眠れなくて暁斗に心配を
かけてしまった程だ。
恐らくだが、私は水族館や海に
来た事がない。
高校に復学するまでは
家に閉じこもりきりだったからだ。
しかし、今は写真部に入部したお陰で
外出する機会が増えており、
部長と乃ノ香にはとても感謝している。
(さて、何を撮ろうかな。
事前に予習してきたけど、ペンギンや
イルカが気になるなぁ。
水槽やショーに行ってみよう!)
私はペンギンの水槽に行った。
(これがペンギンかぁ。可愛いな!)
「おや、偶然だな。」
「あ、部長!
部長もペンギン目当てですか?」
「まあ、そんな所だな。
ペンギン、可愛いだろう。」
「はい!沢山写真撮っておきます。」
「俺はそろそろ行くよ。またな。」
「はーい。」
(ペンギンの可愛らしい姿を
一杯撮れたかな。
次はイルカショーに行ってみよう。)
イルカショーは観客で満員だった。
(あれがイルカかぁ。ちょっと遠くて
撮影しづらいけど、イルカって
賢いし芸達者だなぁ。)
「おや、また偶然会ったな。」
「部長!また会いましたね。」
「イルカショーを撮影しに来たのか?」
「はい!部長もですか?」
「そんな所だな。」
(何か行く場所で度々部長に
会ってる気がするなぁ。偶然なのかな。)
私は部長とイルカショーを観覧しつつ、
撮影に没頭した。
そして、約束時間の1時間が訪れた。
「あれ?部長と陽乃、
一緒だったんですね。」
「偶然、バッタリ会ってな。」
「ふーん…。そうですか。」
「何か言いたげだな…。」
「何でもないですよ!
次は海に行きましょう!」
水族館の次は江ノ島の海に行く事になった。
江ノ島の海は夕焼けに照らされていて
海面がキラキラした
とても美しい光景だった。
しかし、水族館での偶然だと
思っていた出来事は
部長の意図していた行動だった事を
後で知ることとなる。
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