第7話
今日は入部初めての屋外活動だった。
「今日のテーマは花だ。それぞれ
好きな花を自分らしく撮って来てくれ。」
「花かぁ…。この季節だと桜とか
チューリップかな?
「私撮りたい花が有るんだ。」
「えー!なになに?教えてよ!」
「撮ってからのお楽しみだよ。」
乃ノ香とは、すっかり仲良くなっていた。
同じクラスという事もあり、クラス内で
孤立していた私に積極的に
話しかけてくれるようになり、今では
毎日お弁当を食べたり、一緒に
遊びに行く仲になっていた。
(春の花といえば、
私の好きなあの花が咲いてるはずだわ。
暁斗にも帰ったら見せてあげようかな。)
私は撮影したい花がもう決まっていた。
ハルジオンだ。
西園寺家の庭にも咲いており、
この季節になるといつも儚げに
揺れるハルジオンに思いを馳せていた。
(この辺に確か、ハルジオンが
あるはずなんだけど…。
あった!撮影してみよう。)
「カシャッ!カシャッ!」
私は夢中になって、ハルジオンを
撮り続けた。
気付くと集合時間が迫っていた。
(いけない!もうこんな時間だ。
でも、夢中になって撮影してたなぁ。
やっぱり好きな物を撮るって
凄く楽しいよね!)
「おーい!2人とも遅いぞ。」
「部長、ごめんなさい!
遅くなりました。」
どうやら乃ノ香も夢中になって
撮影してた様だ。
「じゃあ今日撮った写真は
評論会の日に見せ合うぞ。」
「
見るのが楽しみ!」
「私も乃ノ香が何撮ったのか、
楽しみにしてるよ。」
私は部活を終えて帰宅した。
「お帰りなさいませ。お嬢様。」
「暁斗、貴方に見て欲しい写真があるの。
見てくれるかしら?」
「勿論でございます。どれどれ…。
この花は!」
「そう。ハルジオンなの。綺麗でしょ。
頑張って撮ったつもりだけど、どうかな?」
「お嬢様はハルジオンがお好きで
いらっしゃいましたものね。
お嬢様のハルジオンに対する好きな気持ちや
感情が溢れている良い写真だと思います。」
「暁斗、ありがとう。
私らしい写真が撮れる様になって
嬉しいわ。」
暁斗には褒められたが、問題は評論会だ。
2人がこの写真をどう判断してくれるか、
ドキドキしていた。
そして、評論会の日を迎えた。
「さぁ。今日は評論会だ。まずは
2人の写真を見せてくれ。」
「私は桜を撮りました!
春といえば桜かなって思いまして。
私自身も桜が好きなので、撮ってみました。」
「ふむふむ。桜の色鮮やかさや
繊細な様子が伝わってくるね。
良い写真だ。」
「やった!」
(乃ノ香は褒められている…。
私はどうなるんだろう。)
「お次は
ハルジオンかな?意外な選択だね。」
「私がハルジオンを撮ったのは
西園寺家の庭にも咲いている花で、
毎年庭に咲くとハルジオンの
揺れる姿に思いを
「ほう。この写真からは
伝わってくる良い写真だね。
まだカメラを握って日が浅いが、
良い写真を撮る様になったね。」
「部長、ありがとうございます!」
(やった!部長にも褒められた…。
良かったぁ。安心したかな。)
「
予想外だったよ!凄く良い写真だね!
「タンポポだ。」
「タンポポ⁉︎
陽乃より意外過ぎますよ!」
「部長はどうしてタンポポを
撮られたんですか?」
「タンポポは英語名で
ダンデライオンと言って、
その英語名も気に入ってるし、花言葉の
真心の愛や別離と言った正反対の意味を
持つ所も気に入っている。
良く花占いでタンポポを使うだろう?
あれはそういった花言葉が
込められているんだ。」
「へー!タンポポって面白いんですね。
小さい、足元に生えている花でも
そうやって見方を変えると印象が
変わりますよね!」
(部長の言ってる事、とても素敵だな。
真心の愛や別離か…。何か私には
まだ無縁の世界かな。)
しかし、私の思いと裏腹に
タンポポの花言葉である
真心の愛と別離は身近な物と
なりつつあった。
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