第112話一難去っても厄介事はまだまだ来る


足立さんのお見舞いが終わり家に帰宅して

母を適当にあしらい自室で足立さんと『松本花菜』の事についてまだ考えていた。

一体どうしたものか。

やっぱり話した方がいいのか?

でもなぁ『松本花菜』の話も気になる所だし

あーこういうのは主人公の役目だろうに

只のモブにはこの役目は重すぎるよ。

本当にどうしよう?



・・・・・・・・・・・・・・・・



ジリリリリリッ!!!

どうやら朝の目覚ましがなった様だ。

俺はあれから一睡も出来ずに色々と今後に

ついて考えていた。

寝てないせいか凄くダルい

あー学校行きたくないなぁ

でも最近は授業もサボったり、余り聞いてないので、これ以上評価を落とすと真面目に

留年するかも知れないので体に鞭を打って

起き上がり、学校に行く支度をする。

リビングに行くと朝食が用意されていて

メモに『ママの特製愛情たっ』そこまで読んで俺はそのメモをゴミ箱に捨てて朝食を食べた。

寝てなくて何時もより早く準備が出来たので

もう少し家でゆっくりして行こうかと思ったが、案外することが無かったので何時もより早く学校に行く事にした。


「いってきますよっと」


誰も居ない家にそう言って俺は学校へと足を向けた。


・・・・・・・・・・・・・・・・


流石にこの時間帯ではまだ同じ制服の奴はいないな。

それにしても本当にどうしたものか

昨日からずっとこの調子だよ。

いや、考えてるのはこの現象が起きてからずっとか。

はぁーと何時もより大きなため息を吐くと

後ろから声をかけられた。

誰だと思い後ろを向くと


「あら、あなた今日は早いのね」


そこには俺の悩みの種の一人『姫野あかり』

が立っていた。

なんでいるの?

とは口には言えず適当に返事をする。


「あーおはよう」


「えぇおはよう」


「つーかお前も早くね?」

「何時もこの時間なのか?」


俺はふと疑問に思った事を口にした。


「いえ、何時もはもう少し遅いけど今日私

日直で早く学校に行かないと行けないのよ」


「ふーんそれで早くね」


「そういうあんたは?」


うーんなんと答えるべきか

まぁ別にやましい事ではないし素直に話すか


「いや、ちょっと昨日から考え事してて

それで寝れなくてな」

「気づいたらもう朝で家に居ても、しょうがないから早くきただけで特に意味はないよ」


「ぷっ!なにそれ」


なんだろう、最近女子に笑われる事が多い気がするんですけども。


「まぁいいわ、せっかく会ったのだし一緒に学校に行きましょう」


まぁ特に断る理由もないしいいか。


「ああ、いい」


いいぜ、と言おうとした時あの例の悪寒が

急に襲ってきた。

えっ!なんで?

そう疑問に思っていると向こうも俺の様子が可笑しい事に気がついて声をかけてきた。


「?どうしたのよ、顔色悪いわよ」

「大丈夫?寝てないからキツイんじゃない

の?」


いかん、心配させてしまった。

しかし何故、急に悪寒が?

もしかしたら『姫野あかり』と仲良くなろうとしているからか?

いや、でもそれだったら一緒に遊園地にも

行ったし今更だと思うけど

あっ!そうかあの時は『桜井暖人』が居たからか!

思い当たる事はそれしか考えられないな。


「ねぇ本当に大丈夫?」


いかん、このままでは不味いな

何か適当に言い訳してここから離脱せねば。


「す、すまんちょっと家に忘れ物したから一旦帰るよ」


苦しいか?


「そうなの?」

「でも顔色悪いから余り無理しない方がいいわよ」


「あ、あぁありがとう」

「それじゃあすまないけど先に学校に行っててくれ」


「え、うん」


俺はその場を急ぎ足で離れた。


俺は『姫野あかり』が見えない所まで行くと

深く深呼吸をした。

しかしあれだけの事であの悪寒が来るとは

なんだか前より悪化している気がするが

俺の気のせいか?

ふぅーよし!落ち着いたな

今度こそ学校に行くとしますかね!


「あれ?○○じゃん」


一難去ってまた一難ってこういう事なのかな

軽く現実逃避をして声をかけられた方を向くとそこには


「よぉ!おはよう」


「あぁおはよう」


『桜井暖人』が立っていた。

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